外出制限中のリトアニアで、ドローンでバルコニーから家族写真を撮る写真家

更新日: 2020.03.31 公開日: 2020.03.31
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新型コロナウイルス感染が数百件発生しているリトアニアでは、写真家のAdas Vasiliauskas氏がドローンを使ってユニークな家族写真を撮るビジネスを始め、話題になっています。

 

リトアニアではこれまで350人以上が新型コロナウイルスに感染しており、2020年2月26日に非常事態宣言が発令されました。現在多くの人が外出を制限し自己隔離を行っています。Vasiliauskas氏は結婚式や広告の写真家として10年間活躍してきましたが、ほとんどすべての仕事がキャンセルになり、一週間に3,000ユーロもの損害が出たといいます。2人の子供を持つ父であるVasiliauskas氏は、家族のために何かできることはないかと考えました。

 

Vasiliauskas氏は、これまでにもドローンを使ってユニークな結婚式の写真を撮ってきました。そこで、自己隔離中の人々をバルコニーから、ドローンを使って撮影することを思いついたのです。「すべての仕事がキャンセルになり、生活していくためにはこの方法しかなかった」と話します。

 

Vasiliauskas氏はまず友人の写真を撮影し、Facebookに投稿しました。男性がバルコニーに寝そべりポーズを決めている写真です。その投稿を見た人々からVasiliauskas氏に撮影の依頼が殺到し、Vasiliauskas氏は1回の撮影を50ユーロで引き受けることに決めました。ほとんどの依頼が家族写真を撮りたいというものでした。

 

感染を防ぐため、撮影は依頼者と直接接触せずに行われます。Vasiliauskas氏が依頼者の家に到着すると、依頼者はバルコニー等に出て、Vasiliauskas氏は建物の外から電話でポーズ等を指示するのです。ドローンでの撮影は5分から10分で終了します。

 

Vasiliauskas氏は「自粛中で気分が落ちている時だからこそ、写真の中では悲しい顔をしてほしくない。幸せそうで、面白い写真を撮りたい」という思いから、家にあるものを小道具として使うことを考えました。リトアニアではすべての店が営業を停止しているため、新しく衣装や小道具を買うことはできません。ある家族はフライパンや掃除機、ラケットを小道具にし、ある男性は軍服に身を包み日光浴をする姿を、ある女性はバルコニーで髪を切ってもらう姿を撮影するなど、それぞれがクリエティブで愉快な写真を撮影しています。

 

外出できず退屈している子供たちにとってもいい気晴らしになっています。「子どもたちはコスチューム選びを楽しんでいるし、窓の外にドローンがやって来くるのを見ると歓声をあげて喜ぶ」とVasiliauskas氏は語ります。

 

Vasiliauskas氏はドローンの安全な操縦と、自身がコロナウイルスに感染しないことに最新の注意を払いながら、「少しでも人々を笑顔にできたら」とこの活動を続けています。

 

(画像引用:https://www.insider.com/photographer-took-photos-of-people-from-balconies-isolation-2020-3)