New York Timesによると、現在実施されている中国製ドローンの禁止措置について、アメリカ政府の中でも意見が割れています。 アメリカ合衆国内務省は2020年1月、セキュリティ上の問題を理由として、中国製の、または中国製のパーツが一部でも使われているドローンの使用を禁止しました。他の省庁や関係機関からはこの措置に疑問の声も出ています。
ジャーナリストのDavid McCabe氏はNew York Timesで次のように述べています。
「ドローン業界において、中国メーカーの存在感は非常に大きいと言えます。そんな中、安全保障面との兼ね合いをどうしたらいいのか、各政府機関でも意見が別れています。内務省の保護貿易主義的なアプローチに反対意見を持つ政治家も少なくありません」
内務省は現在、中国製、あるいは中国製のパーツを使用しているとして、810種類のドローンの飛行を禁止していますが、他の省庁からは中国製ドローンなしでは甚大な支障が出る業務がある、という指摘が相次いでいます。
農務省は農業用地の調査にドローンを使用していて、中国製ドローンの禁止は業務の遂行の大きな妨げになると主張しています。また、農務省林野部(国有の森林や草原を管理する部門)も、業務を中止せざるを得なくなるといいます。
中国ドローンメーカーの最大手、DJIは、アメリカのドローン市場でも最大のシェアを持っているため、今回の禁止で最も影響を受けるドローンメーカーです。DJI製ドローンが広く普及することにアメリカ政府は危機感を持っているといいます。2017年には、ロサンゼルス移民・関税執行局が、DJI製ドローンがアメリカのインフラ、警察などに関する重要な情報を中国政府に送信している可能性があると指摘しました。
DJIは組立工場の一部をカリフォルニアに移設し、「政府特別バージョン」のドローンを作成するなどの対応をしましたが、今回の正式な禁止は避けられませんでした。
アメリカのドローンメーカーには、Impossible AerospaceやSkydioがあります。どちらもアメリカ国内でドローンを生産しているものの、一部のパーツは中国製を使用しています。Skydioは重要なパーツは既に全てアメリカ製であることと、今後は全てのパーツにおいて中国製は避けると話しています。
(画像引用:https://dronedj.com/2020/02/10/ban-on-chinese-drones-divides-us-government/)