2019年5月、スイスの国営郵便事業会社“スイスポスト”のドローンが墜落し、スイスポストはドローン配送サービスの無期限停止を発表しました。
問題のドローンは、未就学の児童が遊んでいた場所からわずか45メートルほど離れた上空で故障し、墜落しました。緊急用パラシュートが搭載されていましたが、パラシュートが開く前にロープが切断され、猛スピードで落下したということです。幸いにも怪我をした人はいませんでした。
スイスポストは2017年から、カリフォルニアのスタートアップMatternetと提携し、病院間を結ぶ医療物資のドローン配送サービスを提供していました。血液サンプルなどを他の病院の研究室に運ぶ際、ドローンは他の手段に比べて格段に速い輸送を可能にします。
スイスポストは2019年1月時点で約3,000件のフライトを成功させていましたが、同月にチューリッヒ湖で発生した落下事故を受け、2019年4月までサービスを停止していました。チューリッヒ湖の事故は電気回路のショートが原因で、パラシュートは正常に作動したということです。
今回の事故を受け、スイスポストはMatternetと協力して問題の解決に取り組み、サービスの再開を目指すとし、次のように話しています。
「安全は私達の最優先事項です。そこで専門家による協議会を設立し、ドローン飛行におけるリスク管理に関する全てのプロセスを徹底的に見直していきます。調査の経過や、サービス再開の目処については、随時発表していく予定です」
スイスポストはMatternetに対し、以下の改善案を提出しました。
・パラシュートをつなぐロープに金属を編み込んで補強する
・ロープを1本から2本に増やす
・周囲の人がドローンの存在に気がつくよう、飛行中により大きな音を発生させる
Matternetは、「Matternetの製品でパラシュート事故が起こったのは今回が初めて。実験でも商業オペレーションでも、このような事故は起こったことがありません。今回の事故を重く受け止め、解決に全力を尽くしていきたいと考えています。スイスポスト、FOCA(連邦民間航空局)、そして顧客である病院が、十分に安全対策が行われたと認めてくれた後に、配送サービスを再開したい」と述べています。