ドローンによる配達が役に立つのは出前だけではありません。軽くて、届けるまでに一刻を争うもの―そう、臓器です。メリーランド州バルチモアで行われた、冷蔵ボックスに入った腎臓をドローンで運ぶ実験は、良い結果に終わりました。出来たてのパッタイも新鮮な臓器も、ドローンによって運ばれる日が来そうです。
実験は、メリーランド大学の外科医Joseph Scalea氏が率いて行われました。Scalea氏は以前から融通の効かない臓器空輸システムに不満を感じていたといいます。臓器を必要とする患者の元にいち早く届けるのに、ドローンが最良の選択肢であることは間違いありません。
Scalea氏のチームは、DJI製のドローンM600 を改良し、冷蔵ボックスを運べるようにした他、中の臓器をモニターするバイオセンサーも取り付けました。モニターされた情報はワイヤレスで発信されます。
数カ月を要し、ついに実験に最適な腎臓が与えられました。健康であるものの、移植には適さない腎臓です。バルチモアに到着した腎臓は、14のそれぞれ異なる条件のもとでドローンによって配達されました。最も長い飛行距離は3マイルで、これはこのエリアにおける各病院間の平均的な距離です。また、最高速度は時速67.6kmに達しました。
腎臓の生体検査は、ドローン配達の前後だけでなく、通常の臓器輸送に使われる小型航空機による配達の後にも行われました。
実験結果は良好でした。風速冷却やドローンのモーターによる熱による影響が心配されていたものの、冷蔵ボックスの内部温度は2.5℃に保たれ、ドローンの動きや振動による臓器へのダメージも見られませんでした。
ドローンと臓器輸送、両者の法規制をクリアして実装するのは、すぐには難しいでしょう。それでも、このような研究が行われることで規制自体が見直されるきっかけになるかもしれません。
(画像引用:https://techcrunch.com/2018/11/19/first-ever-drone-delivered-kidney-is-no-worse-for-wear/)