原子力防災訓練でドローン活用、ヘリとの衝突回避実験も 愛媛県

更新日: 2018.10.17 公開日: 2018.10.18
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愛媛県は2018年度の県原子力防災訓練を、20181012日に実施すると発表しました。

今回の県原子力防災訓練では、情報収集用のドローンを初めて複数飛行させるほか、ドローンとヘリコプターの衝突回避実験も行われます。大分県への海路避難、海上自衛隊と連携した離島からの避難訓練も実施予定です。

なお、西日本豪雨で甚大な被害を受けた宇和島、大洲、西予の3市では、例年行っていた福祉施設や学校での屋内待避訓練などを取りやめます。

そのため、2018年度県原子力防災訓練の参加団体は、2017年度より約20機関少ない約80機関、参加人数は3分の1程度の約8千人と見込まれています。

愛媛県原子力防災訓練の目的は以下の通りです。

・伊方発電所で事故が発生した場合に備える
・緊急時における災害対策の習熟
・緊急時における防災関係機関の相互協力体制の強化
・原子力防災に対する県民の理解を促進する

また訓練は以下の状況を想定して行われます。

・地震により四国電力伊方原子力発電所3号機が破損
・放射性物質が漏洩
・周辺の道路が寸断されている

訓練の内容は、住民避難、誘導、発電所内緊急時対応、原子力災害医療活動などの10項目です。

訓練ではドローンを活用します。愛媛県庁の災害対策本部がドローンの遠隔操作を行い、三崎港など3ヶ所から撮影用4機、電波中継用3機を飛行させます。その後、ドローンで撮影した避難道路などの状況を本部に映像で送ります。

今回の訓練では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した、ドローンの位置情報を共有して衝突を回避する「D-NETシステム」の実証実験を、JAXAと共同で実施します。

災害時には、救助目的で低空飛行するヘリコプターとドローンが衝突する事故も想定されるため、有益な実証実験となるでしょう。

訓練ではそのほか、車での避難者に向けた臨時災害FM放送局の対象地域を、今回初めて伊方町全域に広げ、災害状況や避難経路情報などを提供します。

また、八幡浜市の大島港では、接岸できずに沖合に停泊した大型船へ、住民が小型ボートで避難するボートオペレーションが初めて実施されます。

2017年度の愛媛県原子力防災訓練では、ドローンによる伊方町内の一部避難経路の状況確認(映像伝送試験)などが新規で行われました。2018年度の訓練では、さらにドローンの活躍の幅が広がっています。