年一回開催される国連総会の警護を担うニューヨーク警察のセキュリティチームは、ドローンに対する警戒を高めています。
2018年8月に起きた、爆薬ドローンによるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の暗殺未遂事件を受けて、マンハッタンで行われるサミットで警護を担当する警察官やシークレット・サービスなどは、上空からのテロ行為に強い注意を向けています。
「私たちは現在、これまで対処する必要がなかった問題に直面しています」とニューヨーク警察副本部長であるピーター・ドナルドは話します。
マドゥロ大統領を狙ったテロリスト集団が、国連総合総会を標的とする可能性は低いものの、警察は遠隔操作可能な飛行物体に細心の注意を払っているといいます。
警察はドローンによる爆撃テロにどのようにして対処するか、明確には明らかにしていませんが、国連の要人やニューヨーク市民をこれらの危険から守ることは、非常に重要かつ困難な任務であるという認識を発表しています。
総会中には180台のもの警護車両が出動予定となっており、警戒レベルに応じて、要人が乗る車両の周りには、2~8人の警官が配備されるといいます。
また、現イラン大統領であるハサン・ロウハーニー氏などの、警戒レベルの高い要人の警護には、重火器が用いられる可能性があります。
実際に2018年9月18日には、同大統領を取り囲む12台以上の車両の中に武装したボティーガードが乗車しており、周囲を警戒する様子が見られました。
そんな中でも、最も警護優先度が高いとされるのが米大統領であるドナルド・トランプ氏です。
同氏が乗る大統領用のリムジンの周りには21名ものニューヨーク警察のバイク隊が配備される予定で、緊急時にいつでも対応できる体制を整えています。
「バイク隊はアウトライダーと呼ばれ、有事の際にはすぐに駆けつけ、道路を封鎖します」と、ニューヨーク警察情報局所長のトーマス・ガラツィ氏は話します。
国連総会の開催に伴い、安全面を確保することが最優先事項であることは変わりないものの、世界有数の交通量として知られるニューヨーク市街地では、交通渋滞を緩和する必要もあるといいます。
警護にあたるニューヨーク警察には、国連総会の安全を守りながら、総会中に市民が目的地にしっかりと到着できるように、市民生活を乱さない工夫が求められています。