ジョージア州サバンナのSkidaway Institute of Oceanography(スキッドアウェイ海洋学研究所)は、ハリケーンフローレンスの軌道を追跡するために水中ドローン「スロカムグライダー」を使用した海洋探査を実施しました。
検査用の無人探査機は、センサーによって、地域別の海洋熱、密度、塩分の影響などを測ることができます。
ハリケーンハンター航空機、海洋ブイ、地球周回衛星などによって、嵐やハリケーンの科学的メカニズムを計測することができますが、「遠隔操作の可能な水中ドローンも探査機の一つとして有効である」と海洋科学准教授のキャサリン・エドワード氏は語っています。
通常使用される無人探査用機器(ROV・Remotely operated vehicle)は、6フィート(約180m)と細長い形状で、東海岸からカリブ海に沿って電流を調査するために、マッピング目的で使用され、長期、短期における天候の変化を知ることができます。
ハリケーンフローレンスの準備にあたり、多くの科学者たちはスロカムグライダードローンを起用することで、ハリケーンのパワーと軌道をよく理解できると期待を寄せていました。
探査はハッペラート岬(ノースキャロライナから大西洋に向かって長細く切れ切れに伸びた半島)から行われ、ストームの四分円の発達を調査しました。もう一カ所はジョージアとサウスキャロライナの境から南半分のハリケーンの様子を探るために放たれました。
無人機に取り付けられた熱センサーによって、正確な海洋温度を計測し、データはNOAA(米国国立大気管理局)及び連邦関連の科学データベースへ送られます。
海中の温度だけでなく、塩分濃度、淡水の混合配分などまで測定され、海水のphレベルによって海水の透明度も知ることができます。これは海中にプランクトンがどの程度存在するかという指標になっています。
最近の傾向では、湿気の多い気候によって海中にたくさんの淡水と推積物が流れ込み、海中の酸素レベルが低下し、海中生物が住みにくい不感地帯を形成しているとキャサリン・エドワード准教授は環境破壊を懸念しています。
これまで、サンゴで有名なグレートバリアリーフのヒトデによるサンゴ被害や、クジラを救うプログラムまで、水中ドローン「スロカムグライダー」は探索による環境状態の把握に貢献していました。
人類が知りうることができなかった詳細なデータまで、無人探査機によって明らかにすることができるため、この功績は海洋環境の向上のためのよい足掛かりになると、科学者たちは高く評価しています。
気象衛星から送られる天候変化の推移では、海中の温度まで予測することはできません。刻一刻と変化する微妙なハリケーンの動きを海中の探査機の記録によって知ることができ、詳細な進路を見極めることができます。
今回のテスト探査は、将来のハリケーン対策に大きな効果をもたらすと考えられています。