ドローンの活用事業に取り組むセベックは2018年9月20日、ドローンとAIを使用した新システム「密漁監視抑止・スマート港湾管理システム」の実演を大船渡市三陸町綾里で行いました。こちらの実演には、綾里漁協が協力しています。
ドローンを漁協の荷さばき施設から高さ50メートルほど上空に飛ばしたうえで、2キロほど先の沖合まで自動航行し、ドローンに搭載したカメラからは鮮明な映像がモニターに送られました。
「密漁監視抑止・スマート港湾管理システム」については2017年3月から2018年8月まで大槌町で実証実験が行われてきました。今回は商品化に向けたデモンストレーションとして、綾里漁港周辺で実施されます。
「密漁監視抑止・スマート港湾管理システム」実演の見どころは以下の3点です。
・ドローンと AI による密漁監視
・ドローンによる港湾管理の省力化
・夜間にも光源を必要としない赤外線カメラ搭載のドローンによる映像
今回の実演では、以下のような港湾管理の場面で、ドローンの機動力を応用できることが確認されました。
・密漁監視、抑止
・養殖筏や定置網の点検
・漁場や藻場の環境調査
・海難救助支援
なお、漁業では現状、以下のような問題があります。
・密漁被害の拡大
・漁場や藻場の環境変化
・労働力不足
・漁獲高の減少
・燃料費の高騰
ドローンとAIを使用した「密漁監視抑止・スマート港湾管理システム」により、これらの課題を解決していくことが期待されています。
密漁対策としては、綾里漁協では防犯カメラや監視艇などを使用してきました。しかし、以下のような問題があり、導入が難しいケースもあったという経緯があります。
・年間1千万円以上の経費がかかる
・防犯カメラでは、入り組んだ地形だと死角が多くなる
・監視艇では、広い海で主に夜間に行われる密漁を人力で網羅するには限界がある
・密漁者の監視、抑止行為には大きな危険が伴う
ドローンとAIを使用した今回のシステムでは、密漁対策の経費を半額程度に抑えられます。
また夜間はドローンに搭載された赤外線カメラの画像から、AIが不審な船体や密漁ダイバーの泡などを高い精度で検知し、管理事務所などへ通知することが可能です。
これまでの実証実験により、物体認識機能が向上しており、より安全に高い精度で密漁対策を行うことができるようになりました。
この「密漁監視抑止・スマート港湾管理システム」は、ドローン事業を手掛ける企業連合体「ジュアバックコンソーシアム」に属するセベックとミツイワ、NTTコムウェアの3社が開発したもので、導入費用は300万~600万円となっています。