米国コネチカット州に本社を置くエネルギー企業のEversource Energyは、米国のいくつかの州で、ドローンによる定期的な電力設備点検を実施すると発表しました。
同社によると、ドローンを駆使した点検は、ヘリコプターによる補助を伴う従来の点検に比べ、コストが低くなり、同社全体の化石燃料使用量の削減にもつながるとのことです。同社の計画では2018年現在、ニューハンプシャー州、コネチカット州、マサチューセッツ州の3州でドローンによる点検が実施されることになっています。
有人のヘリコプターから無人のドローンへの移行は、近年あらゆる分野で進行中です。費用の削減、資源の節約、作業人員の事故リスク低下、そしてなにより環境へのやさしさなど、そのメリットを挙げれば数えきれないほどです。
Eversource Energyがニューハンプシャー州でドローン点検の契約を結んだMesa Associates Inc.のドローンパイロットは「ドローンによる検査を導入すると、より頻繁にきめ細かい検査を実施できるようになり、多くの潜在的故障リスクが解消される。我々は高解像度で点検対象の隅々まで撮影し、まだ異常が発生していない個所についてもリスクを探ることができる」と自信を見せています。
また、Eversource Energyでニューハンプシャー州の送電線事業担当マネージャーを務めるキャロル・バーク氏は「最初我々は、問題を抱えている可能性のある電線をターゲットに点検を行っていました。さらに最近では、ビデオや写真の解像度が飛躍的に上がり、肉眼では中々見つけ出せないような故障リスクも検知できるようになっており、あらゆるタイプの欠陥、劣化や腐食を見つけだすことが可能です」とドローン点検の近年の進化について語りました。
ただ、バーク氏によるとドローンによる検査は完全無欠ではないようです。ヘリコプターを使った検査よりも時間がかかるのがその欠点の一つとのことですが、その代わり、より詳細に検査できるというメリットがそのデメリットを打ち消すかもしれません。
また、ヨーロッパでもドローンによる電力設備点検が進んでいるようです。Eversource Energyも2018年8月にベルリンでドローンによる点検を行い、その流れに参加しています。日本でも橋の定期点検にドローンの導入が始まっており、これからも世界的にインフラ検査へドローンが用いられる流れが続いていくことでしょう。