南米ベネズエラの首都カラカスでは8月4日、演説中のマドゥロ大統領を狙ったドローンによる暗殺未遂事件が発生し、翌5日に実行犯ら6人が拘束されました。大統領に怪我はありませんでした。
実行犯の身元は明らかになっていませんが、2017年に発生した軍施設襲撃事件の関係者も含まれているようです。
事件発生時の状況としては、マドゥロ大統領が国家警備隊の創立記念式典で演説中のところ、近づいてきた2機のドローンが爆発、兵士7人が負傷したとのことです。ドローンにはそれぞれ1キロのプラスチック爆弾が搭載されており、大統領の至近距離で爆発させることが狙いだったようですが、周囲では電波遮断装置が作動していたため、ドローンは大統領に届く前に制御を失って爆発しました。
ニューヨークタイムズによると、ドローンによる国家元首の暗殺未遂は、今回が初めてとのことです。
マドゥロ大統領の演説はテレビで生中継されていましたが、爆発により中断されました。大統領は事件後記者会見を行い、隣国コロンビアのサントス大統領が今回の事件に関与していると名指しで批判しました。
マドゥロ大統領は野党勢力を排除して選挙を行うなど、事実上の独裁体制を引いており、サントス大統領はこれを激しく批判していることで知られています。また、コロンビア外務省はマドゥロ大統領の会見について「ばかげている」「まったく根拠がない」と否定しました。
ベネズエラでは前述の独裁体制の他、深刻な経済危機も続いており、国民の不満が高まっています。今回の事件が国民のさらなる締め付けに繋がるのではないかと危惧する声も上がっています。