米カリフォルニア州の大規模森林火災、空軍ドローンで防火局と連携 消防士へ情報提供

更新日: 2018.08.02 公開日: 2018.08.02
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米国カリフォルニア州で7月23日より発生している大規模な山火事に対して、同州ビール空軍基地に駐留する州兵空軍第195航空団は、州森林保護防火局に対して、ドローンによる被害状況の空撮を提供し、被害の収束を支援しています。

カリフォルニア州では、乾燥した気候から山火事が頻発しており、これまでも多くの被害が報告されていますが、近年は特に頻発し、住民の生活が脅かされています。

この事態に対処するための効率的なドローンシステムの開発や導入議論が、ますます活発になっています。ドローンを利用することで、人命を危険にさらすことなく被害状況の俯瞰映像がすぐに得られ、消防活動に活かすことができます。

空軍の情報アナリストであるニコラス・エドワーズ氏は「ドローンを配備することで、火災発生地域の、リアルタイムの状況が提供できる。これは意思決定者への的確な補助となる」とドローン投入の利点について語りました。

今回の山火事では、約90,000エーカーの土地が延焼し、500以上の建物が破壊し、8人の死者が出ています。避難住民は1万人以上に及んでおり、消火活動には総額127億円が投入されています。

カリフォルニア州森林保護防火局のロバート・デキャンプ氏は「州兵空軍が持っている知識と情報は、我々が森林火災に対処するために不可欠なものだ。さらに彼らは我々が持っていない設備を持っており、それも我々の大きな助けになる」と州兵空軍との連携について語りました。

現在、カリフォルニア火災では、民生用ドローンでは耐えられないほどの火力から、使用ドローンを空軍所有のMQ-9 Reaperに切り替えての運用が為されています。

MQ-9 Reaperは広範囲のセンサーを使用して、より戦略的かつ効率的に状況を把握できるように、火災の高解像度画像とともに熱温度、場所、遷移に関する正確なデータを収集して中継します。

収集されたデータは、その地域の地図と重ね合わせて比較され、地上の消防士と共有されます。火の動きを追跡してリソースの優先順位を決めることで、より効率的で体系的な消火活動が可能になります。デキャンプ氏によると「今回の火災の火の動きを予測することは非常に困難であるが、MQ-9 Reaperによって可能な限り迅速に延焼を追跡できる」と自信を見せています。

2018年7月末時点で、今回の火災はカリフォルニア州の歴史上7番目に大きな規模となっています。未だ収束の気配は見えていませんが、森林保護防火局と州兵空軍の緊密な連携は、今後の森林火災対処への新たな指針となるかもしれません。