スイス連邦工科大学ローザンヌ校では、折り紙や昆虫の構造から影響を受けた、「衝撃に強いドローン」の研究、開発を行っているようです。
同大学内のインテリジェントシステム研究所で開発中のこのドローンは、衝突の際の衝撃を軽減するためにフレームが変形し、衝撃を受け流す機構を搭載しています。この機構は日本の折紙を参考に作成されており、強度の高い羽根の根元に柔軟な関節を持つ昆虫の身体構造もまた、そのモデルとなっているとのことです。
この機構は、障害物を回避することよりも、障害物に衝突した後でいかに衝撃を受け流すかに重点が置かれています。不可避な衝突の数よりも、修復不可能な衝突の方が少ないという理論がそのベースとなっています。
インテリジェントシステム研究所の責任者ダリオ・フロレアーノ氏は「現在のロボット技術のトレンドは、『より柔らかい』動きが可能なロボットを作成することです。ただ、使用用途によっては、ある程度の剛性も必要です。我々のシステムは、両方のバランスをとることが可能であると示しました」と自信を見せています。
このドローンのアームは、緩衝材に覆われた剛性の高いプレートが本体部分に挿し込まれる形で出来ており、飛行時にはしっかり形を保ちつつも、墜落時や衝突時に一定の力が加わるとプレート接続部が折れ、柔軟に変形することで、衝撃を吸収します。
ドローンの心臓部にあたる部分の電気機構やバッテリー部分はそのままに、アーム部分を取り換えれば再び飛行が可能になります。
一般的にロボットには、自らの体重を維持するか、積載量を担保するために、ある程度の剛性が必要です。今回のドローンでは、そのコンパクトなサイズ感のおかげで、剛性と柔軟性のバランスをとれたようです。