米国フロリダ州の企業Aergilityはここ数年、最高時速161キロで飛行する宅配用ドローン「ATLIS」の開発を行っているようです。
あらかじめ設定された2地点の間を自律して飛行するATLISは垂直離着陸機(VTOL)で、4か所に上下2つずつ取り付けられた8つの電動ローターと、高速飛行を可能にするガス式プロペラを備えています。
また、ATLISには電気自動車でもよく使われる回生ブレーキが採用されています。回生ブレーキとは、モーターを発電モードに切り替え、そこからエネルギーを抽出する際に発生する抵抗をブレーキとして利用する機構のことです。抽出されたエネルギーはバッテリーに充電され、再利用可能です。
ATLISでは8つのローターの回転数を個別に調整して方向転換や高度維持を行いますが、ローターの回転を緩める際に回生ブレーキ機構が使用されるため、エネルギーがある程度回収され、長時間の飛行が可能になっています。
また、ATLISの機体は耐久性が高く軽量なカーボンファイバー素材でできており、アームが折り畳み可能なため、持ち運びも容易です。さらに耐荷重は180キログラム、飛行可能距離は160キロメートルと、長距離の大型配達もこなせそうです。
Aergilityの設計チームは、コンピュータシミュレーションによる数千時間ものクロックアップを経て、カーボンファイバーとアルミニウムで1/4スケールのプロトタイプ機を実際に製作、飛行実験を行っています。
2018年7月現在、プロジェクトは次の段階に移行しつつあり、原寸大のプロトタイプを製作中とのことです。プロトタイプ機は2019年にも完成する模様です。
法律の問題や事故リスクの問題など、ドローンによる無人配達サービスには乗り越えるべき壁がいくつも存在しますが、ATLISが実用化されれば、物流業界に大きなインパクトとなること間違いなしでしょう。