全国で社会基盤施設の老朽化が進んでいる中、横須賀市では民間企業とともに、下水処理施設の点検に小型無人機ドローンを利用する研究を行っています。
人が容易には入れない場所でも、設備や配管の劣化の兆しを見逃すことなく把握することができます。
衛星利用測位システムGPSが利用できない地下でも飛行することができる、完全な自律ドローンの開発をめざしており、市では「限られた予算や人員で安全の確保・精度向上・コスト低減が実現できれば」と期待しています。
市内の下水処理施設の老朽化は深刻であり、下町浄化センターは49年、上町浄化センターは52年もの年月が経過しています。
こうした状況は全国規模でも同じで、約2,200の下水処理施設の7割を超える約1,600施設が15年を経過しているといいます。
その一方で施設の点検は、肉眼など担当者の感覚に頼る場合が多く、精度にバラツキが出ています。
限られた予算の中で、いかに保守点検を行うかは、各自治体共通の悩みとなっています。横須賀市でも効率よく、低コストで、高い精度の保守が必要と危機感を抱いている状況です。
こうした状況を改善する対策として市が期待を込めているのが、コンサルティング会社NJSが開発を行っているドローンです。
同社技師長の谷戸善彦氏は「汚泥を発酵させるタンクでは、硫化水素などが発生するので、人が入るのは危険。そのため、ドローンの利用は極めて効果的」と胸を張ります。
点検精度の向上と機体の軽量化を実現するため、同社では今後も実験を行い、改善を重ねて将来は下水管内の点検にも利用したい考えです。