損害保険業界では、小型無人航空機ドローンの使用が広がっています。事故や災害時、立ち入ることができない場所でも「鳥の目」で状況を確認し、スピード感のある保険金の支払いを実現するのが狙いです。
損保ジャパン日本興亜で保険金サービス企画部の技術部長を務める高橋良仁氏は、2018年5月中旬、登山で行方不明になった親子を捜索するため、防災協定を結んでいる新潟県の要請を受けてドローンを飛ばしました。その前日には、県内の消防職員にドローンの利用法を説明しました。
損保ジャパン日本興亜では、2015年に自動車事故の損害調査を目的としてドローンを導入し、その後は大規模な災害の状況確認に利用方法が拡大しました。
現在では、災害時や防災面で自治体との連携を進めています。ドローンを所有する企業や団体でも、高橋氏ほどの操縦経験がある職員は少なく、防災協定を結んでいる自治体からの要請が多いといいます。
2016年12月の糸魚川大火、2017年7月の九州北部豪雨の際は、被災家屋の把握に利用して保険金を早急に支払う一方、一部の画像を自治体に提供して、被害状況の掌握に役立てました。
最近は、東京消防庁と協業を組み、大規模地震を想定して高層ビルの林立する区域でドローンを飛ばし、避難誘導訓練などへも参加しています。
ドローンでの画像をより有効に活かす試みもあります。東京海上日動火災保険では、米国のベンチャー企業と協力して、ドローンとAIを組合せたシステムの構築をめざしています。
東京海上では「早ければ2018年度中にも全世界で展開したい」としています。