カリフォルニア州に本社を置く物流企業のMatternetは、ボーイング社から1600万ドル(約17億6000万円)の資金を調達したようです。Matternetは2017年より、スイスの都市圏で医療用品や血液サンプルをドローンで運ぶ事業を行っています。
また、2018年5月には、トランプ政権主導のドローンプログラムへの参加が決定し、ノースカロライナ州でより制限の少ないドローン配達のテストを行う予定です。今回提供された資金は、Matternetのさらなる海外展開のために使用されるとのことです。
ボーイング社のマネージングディレクターであるブライアン・シェトラー氏は「Matternetの技術と実績は、安全かつグローバルな自律型ドローン物流システムを近いうちに実現するだろう」とMatternetに太鼓判を押しました。
また、シェトラー氏は続けて「スイスでの成功から、米国での運用テストを経て、世界が次世代の輸送ソリューションネットワークで繋がれていくのに興奮を覚えている」と今後の展開についても語りました。
この文面だけを見ると、広報活動のための楽観的な希望にも見えるかもしれませんが、ボーイング社は本気のようです。Matternetはすでに、スイスの都市圏の上空で1,700以上のドローン配達実績を有しており、850以上の医療サンプルや補給品を提供しています。もちろん、米国でのドローンプログラムへの参加は、このスイスでの成功が大きく影響しています。
Matternetのドローン配送のプロセスはかなりシンプルです。アプリからフォーム項目へ詳細を入力し、事前に承認されたドロップ地点から希望地を選択することから始まります。
ドローン配達する血液サンプルに貼り付けられたQRコードをまたは二次元バーコードをスキャンして目的地を認識、飛行します。
ドローン業界は、ドローン迅速な配達性能を最大限に生かすため、医療用品の供給をメインターゲットにして多くの努力をしてきましたが、その中でもMatternetの取り組みは成功を収めているようです。
同社は、スイスで信頼性と安全性の高い航空貨物会社としての地位を確立し、ノースカロライナ州でのドローン運用試験に加わることで、米国政府との関係も築き、 ボーイングを中心に、スイスポスト、ソニーイノベーションファンドなどから1600万ドルの提供を受けています。これらの実績の裏付けによって、米国空域ひいては地球規模の空域へドローン物流の網を広げる同社の計画は、より現実味を増しているように思えます。