NPO法人のドローンサポート東北は、2018年5月22日に小型無人航空機ドローンの落下を防ぐ特許技術を活かし、仙台市青葉区にあるマンション外壁の劣化状況を調査しました。
関係者の話では「ドローンによる調査は、足場を組む従来の方法と比較して、費用がかからず安全。高層建築物などに対しても使用可能」と述べ、普及をめざしています。
この調査は、8階建てマンションについて、特許技術を取得している群馬県のベンチャー企業の宮城県建築士事務所協会からの協力により実施されました。
外壁に沿って1.5メートル離れた位置に“ライン”と呼ぶ丈夫な紐を張り、ドローンを吊るしました。パイロットがドローンを移動させつつ、外壁を撮影して、ひび割れなどの状況を映像でチェックしました。
ドローンには赤外線カメラが搭載されており、外壁の温度からも劣化具合を把握できます。ラインは垂直に伸ばすことも可能で、調査費用は30万円から100万円程を見込んでいます。
建築関係者によりますと、仙台市内に現在約1,400棟のマンションがあるといいます。
一般的な外壁調査は、1級建築士などが調査個所を肉眼で確認したり、専用の棒で叩いたりして行い、足場が必要な場合は多くの費用が必要になるとのことです。
東北地方のマンション管理組合の関係者は「大抵の場合、住民で組織する管理組合が独自に維持、管理して外壁調査に大金を払うのは難しい」と指摘します。
視察を行った建築物調査会社の社員は「落下しないことが一番よい。時間と費用を削減可能なのは有望だ」と話しています。
ドローンサポート東北で副理事長を務める後藤賢一氏は「近年になってマンションの外壁劣化で事故が増えている。特許取得企業と協力して全国でラインドローンの使用法を指導したい」と述べました。