英国王立救命艇協会と海事沿岸警備庁は2018年4月21日から25日まで、ウェールズ南部のセント・アサンにおいてドローンの試用試験を行いました。
試験ではDJI製ドローンInspireを用いて海岸線の探索、捜索救助活動などが検証されました。BBCによると、毎年約190人ほどがイギリスとアイルランド沿岸で死亡しており、国会議員や民間団体による強い働きかけから、今回のドローン導入へとつながったとのことです。
ドローンを導入することで、救助隊員へ鳥瞰図が提供可能になり、沿岸での死亡率が大幅に減少することが期待されています。
海事沿岸警備庁のフィル・ハンソン氏は「このテストがうまくいけば、ドローンは沿岸救助において “重要な役割”を担うことになりますが、これは従来のレスキュー方法が完全に代替されるというわけではありません。試験からどのように実際の運用へ至るかコメントするのは時期尚早ですが、明らかなのは、ヘリコプター、沿岸救助隊、救命艇に完全にとって代わることはできないということです。しかし、捜索や救助の強力なツールとしては大いに可能性を秘めています」とドローンの運用について言及しました。
米国では2017年9月に発生したハリケーン・ハーベイの被害の際、ドローンを利用することで、より正確に迅速に被害状況を把握することができました。
また、テキサス州オースティンの爆弾魔の住居を特定した後、当局の踏み込みの前に、周囲の安全を確保するためにもドローンは用いられました。
さらに、バージニア州のジェームス川が氾濫した際、孤立した男性を発見できたのも、ドローンによる功績でした。
王立救命艇協会によると、導入試験は今後2年間にわたり行われていく予定で、常に業務を効率化する新しい技術が取り入れられていくとのことです。同協会は、1800年代のコルク製ライフジャケットを皮切りに、最新のシャノンクラス救命艇まで、常に最新技術を採用してきた歴史を持っています。
ドローンを利用することで、捜索にかかる費用の削減、迅速な捜索、より多くの救助人員の確保につながると期待されています。導入試験自体はまだまだ続く予定ですが、今回の試験結果次第で順次導入が予定されています。
(画像引用:http://www.thedrive.com/)