ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校で環境学を専門に研究している教授、ヘザー・リンチ氏は、2014年に航空宇宙局(NASA)が提供するデータから、南極大陸のダンガー諸島にペンギンの糞が確認できることを発見しました。
その後の2015年、ウッズホール海洋研究所の環境学者たちがこの場所を訪れ、探索しました。
そして、2018年3月2日、南極大陸のアデリーペンギンに関する共同研究の結果が発表されました。
ドローンを使用した研究の結果、南極大陸には150万羽ものアデリーペンギンが存在する事が明らかになったのです。
この発見により、南極半島のほとんどのアデリーペンギンが、ダンガー諸島に生息している事がわかりました。
ヘザー・リンチ教授は当初、南極のダンガー諸島にペンギンが生息しているという見解に懐疑的でした。彼女は「糞が発見されたというのは、何かの間違いであるに違いない」とさえ考えたということです。
ヘザー氏の研究チームが、ドローンを使用した調査を行った結果、ダンガー諸島にアデリーペンギンの巨大な群れがあることが分かりました。
技術が進歩し、ドローンが手に入りやすい価格になった事の恩恵と言えるでしょう。
生物学者の間では、アデリーペンギンの個体数は年々減少していると考えられていたため、今回の発見は、これまでの見解を覆すものとなりました。
「南極の大部分は厚い氷に覆われているので、船が入れず、比較的気候が安定した季節であったとしても調査が難しい」とヘザー氏は述べます。これまで不可能だった研究が、ドローンによって可能になりました。
研究者たちがダンガー諸島を探索する際に用いたのは、プログラムされたクアッドコプター型ドローンで、毎秒1枚のペースで画像が撮影されました。
空撮された画像は、ニューラル・ネットワーク・コンピュータにより、処理及び分析され、今回の研究結果が導き出されたのです。
今回の研究結果を考慮して、環境学者たちは、巨大なアデリーペンギンの群れがある南極のダンガー諸島付近を、海洋保護区域に指定する必要があると考えています。
今回の発見に似たものとして、オーストラリアで、ドローンが沿岸部のアジサシの個体数を数えるために用いられたという事例があります。
高解像度カメラを搭載した比較的安価なドローンは、近年、学術的な進歩に大いに貢献しています。