世代交代の時期にあるイギリスの農業において、若い世代の生産者が、ドローンを用いて効率よく農業を行うためのツールになる可能性も期待されています。ドローンを用いてトラクターを自動運転させ、ハンズフリーで農作業のすべてを行う試みが、イギリスで行なわれています。この自動農法研究プロジェクトは他に類を見ないもので、ドローンを農作業に応用した世界初の先進技術となります。
プロジェクトの目的は、農作物の植え付け、栽培、収穫までの全てを、人の手をかけずドローンによってハンズフリーで行えるという事を実証するものでした。
「ハンズフリー・ヘクタール」と名付けられたこのプロジェクトは、結果的に成功し、ドローンを用いた自動農法は可能であるという事が実証できたのです。実験の完全性を確保するため、試験当時、人間が試験地に入ることは許可されませんでした。
研究員の1人であるマーティン・アベル氏は、このプロジェクトにより、農業とドローン技術を融合させ、生産者の労力を最小限にする事ができると考えています。
アベル氏は「この技術は未来の科学技術のような遠いものではなく、誰もが利用できる普遍的な技術となるだろう。これにより、さらに多くの新しい人々が農業に関心を持ち、取り組めると考えている」と述べています。
プロジェクトの中で、ドローンは、農作物とトラクターをモニタリングするために用いられました。モニタリングされたデータは、農学者により分析されます。プロジェクトに費やせる時間は、1年間だけだったため、開発する必要のない付加的な技術は省く必要がありました。
作物が成長するのを待たなければならないため、プロジェクトは1年かけて行なわれました。「必要な設備を購入したり、研究員の給料を払ったりするための費用に約350,000ドルかかった。」とアベル氏は話します。
費用は高額だったものの、自動農法技術はビジネスとして利用でき、生産者にとってより扱いやすい技術に改善できるとアベル氏は考えています。
「ハンズフリー・ヘクタール」プロジェクトで収穫された大麦は、今後、地元でビールを作る際に使用される予定です。数か月後、「ハンズフリー・ビール」を片手に、プロジェクトの成功を仲間と共に祝えるのが楽しみだとアベル氏は話します。
ドローンを使用したこの自動農法は、今後、更に普及する見込みです。