世界一の航空機メーカーであるボーイング社が、今後10年以内にバッテリー駆動式のドローン旅客機が実現する事を宣言してから、業界への参入ラッシュが始まっています。
航空機メーカーのみならず、ドローンメーカー、また自動車メーカーまでが、こぞってドローンにおける新しいビジネスチャンスをつかもうと努力しているのです。
先行優位の現代社会にあって、各企業はどこよりも早くドローンタクシー技術を完成させようとしています。乗用ドローンをビジネスに用いる事は、今や多くの企業の最大の関心事と言っても過言ではないでしょう。
特にボーイング社は、ドローンシステムに強いオーロラフライトサイエンスを買収しており、これまでのキャリアなどを考えると、業界においてトップとなる可能性があります。
ボーイングの最高経営責任者であるデニース・ミュレンバーグ氏は、「個人用ドローン旅客機の実現は、わたしたちが想像しているより早いだろう」と述べた上で、現在、ボーイング社が乗用ドローンのプロトタイプを製作中であるという事実を明らかにしました。
確かに、エアバスがこの業界に参入したり、中国のドローンメーカー「イーハン(Ehang)」が乗用ドローンの試験に成功したりしている事を考えると、ドローンタクシーの実現までそう遠くはないと言えるでしょう。
しかし、ドローンタクシーの開発者らが直面している壁についても、考慮する必要があります。
例えば、ドローン配送ビジネスは、可視範囲内でしかドローンを操作できないという法律の壁に直面しています。同じようにドローンタクシーも、航空交通管制ネットワークがまだ確立されていないという課題に直面しています。
ドローンタクシーをどのように管理するかについては前例がないため、全くといっていいほどノウハウがないのです。この点については、マサチューセッツ工科大の航空宇宙工学教授も、またFAA(連邦航空局)の職員ですら、はっきりとした最適解を出せないでいます。
ドローンタクシー技術は、安全性や、保険制度といった課題もクリアしていかなければなりません。ドローンタクシーは、小包ではなく人を乗せて運んでいるので、乗客が安心して乗れることが大前提です。
ボーイング社の傘下にあるオーロラフライトサイエンスは、垂直離着陸できる二人乗りドローンを開発中で、ウーバーのノウハウも融合させ、ドローンタクシービジネスを完成させる予定です。同社は、2020年にはダラスとドバイでフライト試験を行う予定としています。