ドイツのボロコプターや中国のイーハンが開発するドローンの中には、人を載せられる乗用ドローンがあります。ドローンタクシーが街を飛び回るようになるまでには時間がかかるとはいえ、現在、自動車業界がこぞってドローン産業に参入する動きが見られています。
100年以上に渡って、エンジン駆動式の自家用車を製造してきたフォードは、最近、新しいビジネスモデルを開拓しています。
長年に渡って安定とユーザーの信頼を築き上げてきたフォードは、ドローン業界に参入することで、更なる顧客の獲得に繋げたい考えです。
直近の数年間でドローン技術は着実に進歩しており、環境保護の必要性も考えると、自動車産業がドローン業界に参入するのは、ある意味自然な流れと言えます。
フォード・リサーチ・アドバンスド・エンジニアリングに勤めているジョン・ルオ氏とアディ・シン氏は、自身らのブログでフォードの動向について言及しています。シン氏はドローンを専門的に研究する部署の研究者でもあります。
彼らが述べるところによると、フォードは、ドローンがさまざま業界に応用され、急激に成長している現状を見て、自らも競争に加わりたいと考えているという事です。
ポルシェもドローンタクシー開発を始めており、近くデザインスケッチを公開するだろうとの見方もあります。これはほんの一例で、他にもアウディ、フォルクスワーゲンなど名立たる自動車メーカーがドローン開発にシフトし始めています。
こういった動きをみて、航空機製造大手、ボーイング社のCEOは「今から10年もすれば、ドローンを乗用として利用できるようになるだろう」と述べています。
FAA(米国連邦航空局)もこの事を認めており、ドローン業界の急成長を、単なる一時的な流行などではなく、将来のコア技術となる分野だと捉えています。現に、約190万あるとされている個人用ドローンは、2020年に430万に達すると推定されています。
カリフォルニア州サンフランシスコの多数のハイテク企業が集中するエリアである「パロアルト」には、フォードのドローン研究開発部があります。
フォードは車とドローンを共存させることを目標としており、「カスタマイズ可能な開発用プラットフォーム」を研究しています。現段階では調査中であるとはいえ、この研究が今注目されているドローンタクシー技術の足がかりになる事は確実です。
究極のところ、「ドローンを趣味で利用するのか、ビジネスで利用するのか」という問題は「フォードのベストセラー貨物車、F-150を街乗りで使用するのか、仕事に使うのか」といった議論に似ており、個人の選択に任せられています。
趣味で楽しむ無人航空機として始まったドローンは、今や、実用性を備えた移動手段に変わりつつあり、人々のライフスタイルをさえ変えようとしているのです。