福島県の沿岸部で、無人航空機ドローンなどロボット研究の開発拠点の構築が本格化しています。この研究拠点は、福島県が整備を行っている「福島ロボットテストフィールド」です。
国費155億円を投入して南相馬市と浪江町で建設しており、一部は2018年6月にも稼働し、2019年度末の完成予定です。
本部が置かれる南相馬地区の面積は、東京ドーム10個分以上の約50ヘクタールに及び、広大な敷地にはドローンの飛行場や水中ロボット用の大型水槽が設置されます。
冠水した市街地を模擬する施設や工場、橋梁、トンネルなどを設置し、災害時の対応やインフラ検査でのロボット技術を検証可能とします。陸海空全てのロボットに対応可能な研究施設は世界でも珍しいとのことです。
本部から13キロほど遠方の浪江地区も飛行場を設け、双方の間でドローンの長距離飛行を行います。安全を確保するため、人家のほとんどない沿岸部の経路を飛行する予定です。
県のロボット産業推進室の北島明文室長は「この研究拠点は基礎から応用までの開発に対応可能。ドローンをめぐる世界における主導権を確保する拠点にしたい」と意気込んでいます。
周辺の地域では復興事業のひとつとして、ロボットの実証試験が行える環境が2015年に整えられ、ダムや橋梁など合計9か所が主な実験地点に指定されています。
南相馬市では、2017年1月にドローンで約12キロ離れた場所に料理を運ぶ試験に成功しています。これは、回転翼を持つドローンが、自動操縦によって長距離の搬送が成功した世界初の事例となりました。