欧州の通信大手・ボーダフォンは4G電波を利用したドローン追跡システムを試験中です。
ボーダフォンと聞くと、ソフトバンクの前身となった過去の携帯会社を想像しますが、欧州では、現在でも多くのユーザーを抱える携帯会社です。ボーダフォン・グループは世界33か国にパートナーを持っています。
ドローンは飛行機やヘリコプターより小さいため、一般的なレーダーで測位することが難しく、しばしば衝突事故や民間航空機の妨害などの問題を起こしてきました。しかし、ボーダフォンのこの技術が確立されれば、より精度の高いドローン制御が可能になります。
4GのSIMカードによりドローンをシステム管理できるようになれば、ドローンが空港に侵入したり、マフィアが麻薬を密輸したりするのを未然に防げます。
50メートルの精度でドローンを測位でき、ドローンが空港や刑務所のような規制区域に近づいた場合、強制的にオペレーターのもとに帰還させるか、着陸させることができます。
ボーダフォンがスペインで行ったテストでは、重量2キロ、翼の幅が1.3メートルのドローンが利用されました。ドローンは総距離32キロメートルのコースを飛行し、詳細な飛行データやGPS座標、HD映像データなどの送信に成功しました。
この新しいシステムを普及させるために、まずは欧州航空安全機関(EASA)の許可を得る必要があります。
ドローンメーカーは全てのドローンにSIMカードスロットを設ける必要がありますが、必ずしもボーダフォンの電波を使用するわけではありません。
とはいえ、以前からドローンのSIMカード管理化は想定されていたので、多くのドローンメーカーにとって、この調整は難しい事ではないでしょう。
ロンドンでは、2017年だけでも、ドローンに関する事件がいくつか起こっています。そのうちの1つは、乗客130人を乗せた旅客機にドローンが接近したというもので、あわや衝突事故になるところでした。
もう一つは、ロンドンの刑務所に密輸用ドローンが出現したという事件です。こういったドローンに関係する事件があったために、欧州航空安全機関(EASA)は、迅速なドローンの規制化を進めています。
ボーダフォンのドローン追跡システムは、アマゾンの宅配サービスにも利用される見込みです。アマゾンのプライムエアーは、注文後30分以内に商品が家に届くサービスで、イギリスのケンブリッジではすでにドローンのテストが行なわれています。