2018年2月14日、アメリカのサウスカロライナ州で、飛行中のヘリコプターがドローンと思われる物体とニアミスし、衝突しそうになる事故が発生しました。
ヘリコプターが回避しようとした結果、地上にあった木に接触し、その場に不時着する事態となりました。警察と関係者らが捜査にあたり、事故の原因を調べています。これがドローンによる事故だったとすれば、アメリカでは初の事例となります。
当時ヘリコプターを操縦していたパイロットと指導員によれば、ヘリコプターに衝突しそうになったのは、確かにドローンだったということです。
ヘリコプターのパイロットが、ドローンとの衝突を避けようとしたところ、ヘリコプターの機体は進路から外れ、地上に植わっていた木に衝突して緊急着陸せざるを得なくなりました。幸い死傷者は出なかったものの、ヘリコプターは機体の後方部に大きな損傷を受けてしまいました。
連邦航空局(FAA)はこの事故がドローンによるものであると公には述べなかったものの、国家輸送安全委員会(NTSB)は、ヘリコプターを操縦していたパイロットの目撃証言から、更に調査を行う必要があると述べました。
今回の事件は、アメリカのドローンに関する規制が、厳密性に欠ける事を露呈する形となりました。
ドローンは、400フィート(およそ122メートル)以内の上空でのみ使用が認められており、可視範囲を超えてドローンを操作することは許されていません。しかし、規則に従わないドローンパイロットが多いというのが現状です。
サウスカロライナ州で起こったこの事故の原因となったのは、DJIの「Phantom」シリーズの機体であったとの見方が強まっています。しかし、当時衝突しそうになったドローンとパイロットの特定は未だにできていません。
DJIは、声明の中で「この事故については認識しており、現在調査を行っている。必要に応じて関係者に支援を行いたい。今のところ、事故について具体的な事は分かっていない。DJIは業界のリーディングカンパニーとして、こういった事故を避けるために、技術面だけでなく、安全面でも率先する必要がある」と述べました。
最近、カナダでもドローンとチャーター機が衝突する事故が起こっており、各国から似たような事例が出ています。
現状を受けて、米航空業界団体エアラインズ・フォー・アメリカは、「ドローンと飛行機が衝突する可能性は以前よりも明らかに高くなっている」と述べ、警戒を呼びかけました。