2018年1月下旬、米国の運送会社であるUPS(ユナイテッド・パーセル・サービス、以下UPS)が、業務にドローンを導入する事を提案しました。これに対し、全米トラック運転手組合が反対意見を提出したため、話し合いは難航しています。
ドローン導入に関してはさまざまなアイデアが出ていますが、ドローンの運送業界への応用は、ほぼ初期段階です。
米国ではドローンを使用したさまざまなビジネスモデルが提案されています。事実、UPSを含め、米アマゾンやその他大手企業も、将来の業務にドローンを導入する目的で、さまざまなテストを開始しています。また、ドローンに関係した特許出願も多く、新技術が続々と提案されています。
その一方で、ほとんどが実用化までは至っておらず、ドローンを利用したビジネスは未だ発展途上の段階です。その理由の1つに、雇用の問題があります。
報告によると、全米トラック運転手組合は、将来的に10,000人の従業員を新規雇用すると考えられており、これまで行ってきた深夜配達サービスもすでに廃止されています。これだけ多くのトラック運転手を雇用するからには、それに見合う仕事が必要になるのです。
UPSは巨大な雇用を抱えており、それらを一挙にドローンと置き換えるのは困難です。UPSと全米トラック運転手組合によるこの協議は始まったばかりとは言え、もしドローン導入が許可されれば、UPSの約26万人の従業員が大きな影響を受けると予想されています。この協議は2018年7月にも終了する見込みです。
協議が難航している最大の理由は、テクノロジーを利用したい側と、雇用を確保したい側で意見が分かれているからであると言えます。ドローン技術は指数関数的に向上しており、排ガスなどの環境問題を考えると、ドローンによる配送は理にかなっています。
UPSの関係者は、「この協議が終わったあとも信頼性の高い、競争力のあるサービスを提供し続けたい。UPSは、すべての人にとって相互尊重の環境を作りたいと考えており、従業員の会社への貢献に対して、しっかりと報いたい」と述べています。
多数のトラック運転手を解雇してドローンを導入するのか、テクノロジーを無視してこれまでのスタイルを貫くのか、現在、全米の運送会社はジレンマに直面しています。
全米トラック運転手組合などの反対派がいるとは言え、コスト削減や環境問題の観点から、UPSはドローンの導入に非常に積極的です。