飛行面積が4倍に 米マサチューセッツ州スタートアップ企業が容量2倍のリチウムバッテリーを開発

更新日: 2018.05.14 公開日: 2018.03.14
img

マサチューセッツ州に本拠を置くスタートアップ企業SolidEnergy Systemsは、従来品に比べて、エネルギー密度が2倍のリチウムイオンバッテリーを開発しました。

SolidEnergy Systemsのバッテリーは、従来のリチウムイオンバッテリーの半分のサイズで同じエネルギー量を持ち、同じサイズであれば2倍のエネルギー量を持つことができます。これによって、理論上はドローンの飛行時間を2倍に伸ばせることになります。

SolidEnergy SystemsのCEOで、マサチューセッツ工科大のバッテリーマネージメント研究室に所属する胡启朝氏は、同社のバッテリーはドローンの飛行半径を2倍にするとともに、4倍の飛行面積をカバーするとのことです。

胡氏によると、同社は現在、農村地にワイヤレスインターネットを導入しようとしているメーカーや企業に、バッテリーを少数生産したうえで販売しています。

2012年に設立されたSolidEnergy Systemsは、現在までに5,000万ドルを調達しています。そして、それはバッテリーを大量生産し、市場に投入するための資金ではありません。資金はバッテリー技術の向上のための開発・研究に費やされます。

同社のバッテリーは、リチウムイオンバッテリーに通常見られる可燃性の液体に代わって、電解質用の半固体材料を使用しています。

また、SolidEnergy Systemのバッテリーは、従来のリチウムイオンバッテリーよりも高価です。これは主に少量生産によるコストの増加であるため、胡氏は同社のリチウムバッテリーが、将来的に大量生産されれば、通常のリチウムバッテリーと同コストになると述べています。

SolidEnergy Systemsは現在、マサチューセッツ州ウォーバーンの工場で少量のバッテリーを製造しています。同社はある時点で、アジア(中国、韓国のいずれか)に製造拠点を移すことを計画しています。

同社は、リチウムイオンバッテリー産業で使用される標準的な機器を用いてリチウム金属バッテリーを製造することにより、製造コストを低く抑えようとしている。

ウォーバーンの前に建設された最初の工場では、A123システムから保護された古い製造設備を使用していました。

ドローンはSolidEnergy Systemsのメインターゲットです。同社は最終的に電気自動車用のバッテリパックの製造を目指しています。

SolidEnergy Systemsは以前、2017年にドローンとウェアラブル機器用のバッテリーの製造体制を確立し、2018年には電気自動車用バッテリーを準備する計画を立てていました。

そして現在は、ウェアラブルバッテリーを2019年、電気自動車バッテリーを2020年〜2021年に製造することを目標としています 。