埼玉県は、県が所有する施設の劣化調査に赤外線カメラを積んだ小型無人機ドローンを導入しました。
壁の亀裂などで修繕する必要のある箇所を、これまでは職員が屋根などから肉眼で確認していましたが、調査の正確性と安全性が向上することになります。
県では施設の老朽化が深刻な問題となっており、劣化が軽いうちに修理する予防管理を確実に進めて、施設の維持や更新にかかるコストの削減を目指しています。
50万円の予算でドローンを購入し、2017年12月から運用を開始しました。ドローンは通常のカメラと赤外線カメラを取り換えることができます。
県によりますと、赤外線カメラを搭載したドローンを利用するのは全国では初めてといいます。
ドローンを建物の壁面などに沿って飛行させ、通常のカメラを使用すれば、見えにくい箇所の点検も可能で、調査時間を短縮することができ、作業の安全性も高まるとしています。
赤外線カメラを用いることで周囲との温度差を検出し、浮きや亀裂、水漏れなど、肉眼では発見が難しい劣化を確実に見つけることが可能です。
地上から赤外線を向けるよりも精度が高く、人が壁面を叩いて調べる打診調査のコスト削減も見込めるといいます。
保全計画を策定中の100施設のうち、17年度に3施設でドローンを用いた調査を実施しました。18年度には24施設での調査に用いる予定です。
約70施設は肉眼で調査が済んでいますが、施設の長期保全計画は5年毎に見直しを行い、その時に使用する予定にしています。また日常点検、定期点検などについても広く利用していくことにしています。
県管財課では「新しい技術の導入で調査の正確性が大幅に向上するので、維持更新のコスト削減につなげていきたい」と話しています。