システムソリューションを提供している理経は2018年1月18日に、大規模な災害時に罹災現場の確認を迅速化するため、長時間に渡って飛行できる有線ドローンを利用した防災救援システムの公開実証試験を行いました。
これまでは上空から罹災地の状況を確認するためには、鉄塔やヘリコプターを利用するしかありませんでしたが、現在注目されているのがドローンです。
しかし、無線ドローンでは飛行時間が短く、強い風に弱い、操縦の難易度が高い、目視飛行では夜間の対応が困難といった制限があります。
一方、有線ドローンは有線給電により約200時間(8日間相当)の連続飛行が可能です。
風の影響を受けにくく、ボタン一つで飛び立ち、垂直方向の移動を設定するだけで操縦が容易で、夜間の飛行も可能であり、罹災地での状況確認に適しています。
製品の輸入元である米国の規制で高度は122メートルまでですが、物理的には約150メートルは可能とされています。
工学院大学犬目キャンパスで行われた試験では、定点観測向けの産業用ドローン「PARC」(モトローラ・ソリューションズ)を使用し、上空からの映像をモニターで確認しました。
また、独自の固定無線アクセスFWA(固定無線アクセス)通信網と地理情報GIS(地理情報)システムを利用し、ブラウザの地図上に災害の状況を集約して表示しました。
大規模な災害時に、遠方にある災害対策本部や現地の救助隊隊員間での情報の共有、罹災住民への避難の指示などでの利用シーンを想定した動作確認を行いました。
同社では、移動しながら長時間撮影できる特長を活かし、今後は火山観測や津波観測、大気中の放射線の測定などにも各自治体での運用を目指すことにしています。