米国バージニア州では、ドローンを畜産業に利用する取り組みが始まっています。農家はドローンを導入する事によって、大幅に時間と労力を節約する事ができ、作業効率のアップにもつながります。
舗装されていない農場の道で車を走らせ、家畜の近くまで自力でたどり着くことは、高齢の農業従事者にとって容易なことではありません。一方、ドローンを利用すれば、実際に外に出て羊や牛などの家畜を管理する必要がなくなるのです。
また、ドローンの映像から得られる情報量は豊富で、家畜が現在どのような状況にあるかが一目瞭然です。肉眼で牧場を観察する場合よりも、はるかに多くの情報が得られます。
バージニア州の公立高校で農業の教員をしていたダン・スワフォード氏は、このプロジェクトのリーダーです。スワフォード氏は、この産学連携プロジェクトを、バージニア工科大学の協力により進めています。
バージニア大学の研究チームは、実際にドローンを使用し、ドローンの存在や飛行時のプロペラ音が家畜にどのような影響を及ぼすかを調べました。その結果、家畜には悪影響がないことが分かりました。家畜はドローンを怖れず、不審な挙動を示すこともなかったということです。
スワフォード氏は、農業にドローンを用いることによって、古くから行われている産業に最新技術を導入しようとしています。農業を活発化させ、若者の農業に対する興味を育む事が、スワフォード氏の狙いです。
スワフォード氏は現在、4Hクラブの学生たちにドローンに関する知識や、ドローンの将来的な可能性について教えています。同氏は、このプロジェクトを進めるために助成金を申請しており、農業へのドローン導入に本格的に取り組んでいます。
4Hクラブとは、アメリカ合衆国農務省の管轄下にある組織で、全米で約900万人の会員がいます。アメリカ各所の農業系大学や研究所を中心に農業教育を展開する組織で、5歳から21歳までの青少年を会員として活動しています。日本でも「農業青年クラブ」として、全国で活動が展開されています。
ニュージーランドのタラナキ地方でも、農業へドローンを導入する農家が出てきており、大幅な高効率化、省力化につながっています。この農家では、牧畜牛の管理にドローンを用いています。
農業従事者が高齢になる中で、省力化は急務となっており、若い世代への事業の引き継ぎも必要になっています。これから数年間で、こういったハイテク農家が更に増えていくでしょう。