地下水が様々な色に染まる ドローンが捉えた産廃の傷痕 香川県豊島

更新日: 2018.05.14 公開日: 2018.02.28
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1980年代に国内で最悪の事案とされている産業廃棄物不法投棄の事件があった、香川県の豊島(てしま)土庄(とのしょう〉町の現場を、上空から無人航空機(ドローン)によって撮影された写真に注目が集まっています。

国立公園に指定されている瀬戸内海にある白い砂と青々とした美しい松林が続く小島に、月面のクレーターのような奇妙な大地が広がっているのです。

産業廃棄物が不法に投棄されていた7ヘクタールの現場には、いたるところに陥没した穴が残っており、穴の底にたまった地下水や雨水が産業廃棄物による影響で様々な色に染まっていました。

不法に投棄された産業廃棄物の量は90万トンにも上り、2017年までに島の外へ移し替えられました。

香川県では、地下水や土壌がどれくらい汚染されているかの調査や、汚染を除去する作業を行っており、2018年3月いっぱいまでに穴を埋め立て、なだらかにする予定にしています。

土庄町の町民は、本来の島の姿を復元するよう訴えて活動を続けています。地下水からは現在でもベンゼンなどの有害な物質が基準値の10倍を超えるレベルで検出されています。

住民運動の代表者である安岐正三さん(66歳)は「『見えていないゴミ』がある。不法投棄事件はまだ終わっていない。元の島の姿を次の世代に返すのが私たちの最低限の務め」と述べています。