カリフォルニア州のサンノゼに本社を置くネットワーク製品の世界的企業、シスコ・システムズの元CEOジョン・チェンバース氏は、空のセキュリティーを専門的に扱うスタートアップ「Dedrone」の投資家兼顧問として、革新的な技術開発に取り組んでいます。
Dedroneは、ドローンの脅威から企業や団体を守るための、ドローン検出プラットフォームを開発しました。
ホビーや空撮のために使用されるドローンは、時に悪用される事があります。スパイ活動に用いられたり、大規模な野外イベントでテロに使用されたりする可能性もあります。
強制的にドローンを着陸させたり、破壊したりする事は、法に抵触する可能性がありますが、敷地内に飛んでくるドローンの情報を察知することは、違法ではありません。
Dedroneが開発しているドローン検出プラットフォームは不正行為を働くドローンを検出し、ユーザーに細かな情報を提供する事ができます。
Dedroneが開発したドローン検出デバイスには、基本的に、既製品のマイク、カメラ、センサーが用いられています。
しかし、Dedroneが開発した独自のアルゴリズムによって、所定の半径内にあるドローンの挙動を細かに検出することができます。取得したデータは、AIによって解析され、パターン認識された後に、害のあるドローンかどうかを判断する事が可能です。
飛来したドローンのメーカーだけでなく、モデル、パイロットの位置、ドローンが搭載している物などの情報をリアルタイムに取得する事ができ、状況に応じてユーザーに警告を出すことができます。
チェンバース氏は「たとえば、1か月に10台のドローンしか目視できていなかったとしても、このDedroneのシステムを活用すれば、約10倍に当たる100台のドローンを検出できるだろう」と述べています。
実際にこの検出システムにより、国の軍事施設付近で10台以上のドローンが検出されました。時には、同じドローンが何度も検出されることもあります。
上空のドローンをトラッキングするためのソフトウェアは他にもありますが、どれも軍事用に使用されているものや、費用が高額なものばかりで、Dedroneの開発するドローントラッカーのように手軽ではないのが現状です。
Dedroneのドローントラッカーはどんな気象条件でも動作し、鳥やヘリコプターなどの他の飛行物体とドローンの違いも検知します。また、システムをインターネット経由でアップデートできる点も優れているといえるでしょう。
2018年1月16日にDedroneが発表したところによれば、この製品の予約数は以前の3.5倍まで伸びており、これからも増加する見込みです。
「地上にフェンスがあるのと同じように、空にも不審なドローンを検出するセキュリティーシステムが必要である」とDedroneのCEO、イェルク・ランプレヒト氏は述べています。