オーストラリア初のドローンによる人命救助

更新日: 2018.05.14 公開日: 2018.02.25
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2018年1月17日水曜日、オーストラリア南東部ニューサウスウェールズ州の海岸で、溺れかかっていた10代の少年2人がドローンによって救助されました。

サウジアラビアの情報機関アラブ・ニュースが伝えるところによると、オーストラリアでのドローンによる救命活動はこれが初めてだったということです。

ニューサウスウェールズの北部に位置する海岸沿いで、近くに居合わせた人が、2人の少年が沖で溺れかかっているのを発見し、近くにいた救命員に急いで知らせました。

オーストラリアには海岸にライフガードと呼ばれる救命員がおり、水難事故などの際に救命活動を行います。事故が起こった当時、ライフガードはドローンのトレーニングを行っていた最中で、救助活動をすぐに始めることができました。

海で溺れかかっていたのは15歳と17歳の少年です。当時、彼らは海岸に戻ろうとしたものの海の波が大きく、沖へと引き戻され、疲労困憊していたということです。

救助に当たったライフガードの監督、ジェイ・シェリダン氏は、ドローンを活用して素早く救助活動を行い、2人の少年は事なきを得ました。

ライフガードが操作していたドローンは海上2300フィート(約700メートル)のところにありましたが、約70秒で少年たちのすぐ上まで移動し、自動膨張式の浮き具を投下しました。当時撮影された動画が、アラブ・ニュースのYouTubeアカウントで公開されています。

報道機関「シドニー・モーニング・ヘラルド」誌にライフガードが語った所によれば、ドローンがなければ3倍ほどの時間がかかっていたということです。

救助活動に用いられた「リトルリッパー」というドローンは、救命用にカスタマイズされた、蛍光色のヘリコプター型ドローンです。

オートフライトコントロール機能が付いているだけでなく、1回の充電で約1時間飛行する事ができるなど、一般的なドローンよりハイスペックで、救命用に適した仕様になっています。

ニューサウスウェールズ州の副知事は、この出来事は歴史的に重要なものであったとし、実際の救助のためにドローンが用いられた事は初めてだったと述べました。

ニューサウスウェールズ州では、ドローン技術に対して合計34万ドルの投資がなされていますが、今回の救出劇は当局の投資事業を後押しするものとなりました。