アメリカ合衆国ウェストバージニア州のブルーフィールド市は、FAAが進めているドローンプログラムへの参加に意欲的な態度を示しています。UASIPP(Unmanned Aircraft Systems Integration Pilot Program)と呼ばれるこの新しいプログラムは、包括的に市のドローンを管理し、運用する新しいシステムです。
このFAAプログラムを通して、州や地方の公共団体は、事業者や民間企業と提携して、安全にドローン利用プロジェクトを進めることができます。FAAがこのような先例を作れば、海外の多くの国でも同じようなプログラムが導入されるでしょう。
これまでは、FAAがドローン使用に関する細かな約束事を定め、市民がそれに従うというスタイルでした。しかし、この新しいプログラムでは、FAAが率先して公共団体と協力し、市民のためにドローンを活用していくという形になります。
プログラムを通して、公共団体と民間企業、FAAが一丸となってプロジェクトを進めることができるため、合法的かつ効率的であると言えるでしょう。
ウェストバージニア州のブルーフィールド市は、山、谷などの自然資源に恵まれているだけでなく、都市部と農村部が隣接しています。そのため、ドローンをさまざまな状況下で運用する事ができ、その利便性をテストする上では好条件な場所なのです。
ブルーフィールド市が考えているのは、大きなドローンを使用した輸送システムです。約136キログラムの荷重を積載する事ができる固定翼タイプのドローンで、米軍が使用している輸送用ドローンに似ています。
FAAにはUASIPPの申請書を調査する専門チームがあり、ブルーフィールド市はこのプログラムに申し込んだ後、現在、FAAの返答を待っている段階です。2018年の春には可否が出る予定で、FAAに承認されれば数々のプロジェクトがスタートします。
ブルーフィールド市が考えているプロジェクトの中には以下のようなものがあります。
1、ドローンによるレスキュー
ブルーフィールドには森林地帯があり、そこでドローンを用いた救助訓練を行うことができます。
2、屋根の検査
屋根の検査にドローンを使用することができます。実際に人が屋根に上って検査をするより安全で、コスト削減が可能です。4K撮影技術を利用すれば、高解像度の画像を得ることができます。
3、地形のスキャン
ドローンを用いた地形スキャンは新技術ではないものの、ブルーフィールド市があるマーサー郡においては初めての試みとなります。
ブルーフィールド市は、このFAAのプログラムを通して、ブルーフィールド州立大学と産学連携の形を取りたい考えです。ブルーフィールド州立大学は、先進的なロボット工学技術を持つ大学として知られています。同市はまた、このプログラムをきっかけとして、多くの革新的な企業を街に誘致したいとも考えています。