2018年1月8日、インドの鉄道会社が、業務にドローンを導入することを発表しました。春の時期に行なわれるインドの伝統行事を前に、ドローンを使用して業務の安全性を高め、効率化を図るのが目的です。インドでは現在、3つの鉄道施設にて試験的にドローンが導入されています。
インドでは、毎年春の時期にヒンドゥー教の伝統行事であるホーリー祭りが行われます。中国に次ぎ、世界で2番目に人口が多いインドでは、フェスティバルやイベントの際に多くの人達が鉄道などの公共交通機関を利用します。駅周辺などで群衆を誘導し、整備することは容易ではありません。
今回、インドの西中部鉄道が導入したカメラ付きドローンは、駅で乗客を誘導するのに利用されます。また、群衆の中で言い争いや暴力行為などが見られた際には、ドローンで迅速に異変を察知し、素早く解決できます。
鉄道設備に何らかの異変があった際にもドローンがリアルタイムで必要な情報を与えてくれるため、迅速かつ適切なメンテナンスができ、鉄道の安全を保てます。
ドローンは、鉄道の交差点、踏切などの事故が多発する場所で監視を行い、衝突などの事故を未然に防ぐのにも役立ちます。インド政府は、列車の運行や安全を向上させる面で、ドローンが非常に有効な手段であると考えています。
インドの西中部鉄道のジャバルプル、ボパール、コーターの3つの場所において、現在ドローンが導入されています。このような試みは全インドにおいて初の試みです。効果性が見られた場合、政府は、インドの他の鉄道でもドローンを導入したいと考えています。
ドローンは低コストで導入できるにも関わらず、膨大なデータを収集でき、交通機関のサービス改善に役立てられます。とりわけ、数百万人の乗客が鉄道を利用するインドの春の時期には、業務や運営管理の最適化に役立つ、有用なデータが得られます。
インド鉄道は総延長距離6万2,000キロメートルで、世界第5位となっています。これは、アメリカ合衆国、中国、カナダ、ロシアに次いで長い距離です。インドにおいてドローンの導入が効果を生み出した場合、ドローン技術を積極的に取り入れているアメリカ合衆国や、ドローン大国である中国に及ぼす影響も大きいといえるでしょう。
近い将来、日本でも、駅周辺の設備の検査などは、全てドローンによって行なわれるようになるかもしれません。