2018年1月初旬、ボーイング社の50人のエンジニアからなるプロジェクトチームが開発した、大型ドローンのプロトタイプが公開されました。このドローンは、すでに屋内での飛行テストが完了しており、現在、実用化の段階に入っています。
ボーイング社は、まだ商用利用のための具体的な計画を立ててはいないものの、沿岸部の石油採掘場などでの3D(dull, dirty, and dangerous:単調、汚い、危険)の仕事を、現行のヘリコプターに代わってドローンが担えると考えています。
ドローンの試験機には、180cmのローターが8基装備されており、全体の重量はなんと339kgにもなります。
このドローンは約68kgまでの物資を輸送する事ができます。また、最大飛行時間は15分です。しかし、プロジェクトチームは、最大積載荷重をもっと上げられるとしており、約226kg(500ポンド)まで積めるように改良できると述べています。
驚くべきなのはそのスピードで、時速約97kmから113kmの速度で飛行できます。地上100m前後の高度を飛行することができるため、配達のために市内を飛び回ったり、石油採掘場などで物資を運ぶために離島から本土を行き来したりするのに適しています。
「ドローンのある生活」と聞いて私達がまず思い浮かべるのが、Amazonプライム・エアのようなドローン宅配サービスですが、ボーイング社の思い描くドローンサービスは少し異なっています。
従来の小型ドローンは軽量物しか運べなかったのに対し、ボーイング社の大型ドローンは最大200kg以上の物資を一度に輸送することができます。例えば、集荷センター間の輸送を大型ドローンによって行えるかもしれません。この方法なら、陸送より人件費が安く、コストを抑えることができます。
現在、小型ドローンのビジネスモデルがいくつも提案されていますが、どれも実現までには時間がかかりそうです。従来の小型ドローンはプライバシーや安全問題などに加え、FAAが定める細かな規則に従わなければならないからです。
この点、ボーイング社は長い間航空機を製造してきたメーカーであるため、多くのノウハウがあります。ドローン専用の、空の物流システムを構築するのも決して難しくはないでしょう。
小型ドローンが必要なものを一つ一つ届けてくれるシステムが実現するのは、実現はまだ先ですが、ボーイング社の300kg級ドローンが空を飛ぶことは、思いのほか近い将来に実現する可能性があります。