ドラマ「ブラック・ミラー」は科学技術がもたらす革新と弊害を風刺的に描いた作品で、ネットフリックスに公開されて以来、ユーザーから高い評価を得、今や全米で注目の作品となっています。心理ドラマ的要素が含まれているサイエンスフィクションで、近い将来私達が経験する可能性のある事柄を上手く描き出した映画です。
アメリカ国防総省、ペンタゴンは今、ブラック・ミラーで描かれた世界を彷彿とさせる技術の開発に取り組んでいます。レーザーで動力を得て飛行することができる、コウモリ型のドローンを作り出そうとしているのです。産学連携で、企業および科学による防衛構想を発足し、軍への活用も行なわれる予定です。
スマートフォンがワイヤレス充電に対応し始めたものの、先端科学は常に一般産業の先を行くもので、すでにレーザービームによる動力供給システムの開発が始まっています。これは「レーザー・モーティブ(Laser Motive)」や「レーザー・パワー・ビーミング(Laser Power Beaming)」などとも呼ばれる技術です。遠隔で無接点充電を行うことができる次世代の技術と言えるでしょう。
この新型ドローン構想には多額の助成金が出ており、その額は600万ドルにも上ると言われています。この研究には、自然界の生物などから開発のヒントを得る、バイオミメティクス(生物模倣)も含まれています。このドローンも、見た目はコウモリに非常に似ており、コウモリの翼の膜のような特殊な材料が使用されています。
近年では、センシングシステムが進歩しているだけでなく、プロセッサーの小型化も進んでおり、飛行制御アルゴリズムも複雑になっています。
これらの技術を駆使して、リアルタイムで自律飛行ができるドローンの開発が行なわれています。コウモリ型の可動翼ドローンは従来の固定翼ドローンと比較して、応用が効き、より複雑な任務をこなすことができます。
機動性が要求される任務や調査、偵察などにおいては、従来のマルチコプター型ドローンが適しています。しかし、戦場で兵士をナビゲートする場合など、細かな動きが要求される場面では、コウモリ型のような可動翼のドローンが適しているのです。
将来の戦争ではこういったコウモリ型ドローンが投入され、人間に代わって戦うといった事も考えられます。そうなってくると、SF映画が描くようなロボット戦争にますます近くなるでしょう。ドローンの開発が人類に安全をもたらすのか、危険をもたらすのかは、議論の余地がある部分です。