アメリカ海軍は、グアム島の米軍基地に偵察用のドローンを配備するなど、近年、無人機の導入に積極的です。また、アメリカ海軍だけでなく、陸軍もドローン開発に力を入れるようになってきています。2018年に入って、無人戦闘機開発を行っている企業クラトス(Kratos)が米陸軍との契約締結に至りました。
クラトスはこれまでにもドローン戦闘機を幾つか開発してきましたが、今回の契約は、BQM-167というドローンに関するものです。従来のものよりも機動性が高く、高性能なのが特徴となっており、音速に近いスピードで飛行できます。
BQM-167は米空軍にも利用されており、現在フロリダ州にある米空軍基地で空対空ミサイルのテストが行なわれています。カリフォルニア州の中部にあるサクラメントにクラトスの子会社CEi(Composite Engineering Inc. )があり、現在そこではドローン本体、ドローン発射装置、遠隔操作に必要な機器や予備パーツの開発が行なわれています。
クラトスは、無人機システムを得意とする企業で、衛星通信やサイバーセキュリティの技術も持っています。また、マイクロ波を用いた電子工学やミサイル防衛にも詳しい企業です。軍需産業として成功している企業で、2016年だけでも6億6900万ドルの収益を出しています。
クラトスは以下のようなハイエンド無人戦闘機の開発にも携わっています。
・XQ-222 Valkyrie(ワルキューレ)
ワルキューレは最高時速約646マイル(時速約1,040キロ)で長距離飛行が可能なドローンです。
・UTAP-22 Mako
最大時速699マイル(時速約1,125キロ)で飛行する事ができ、約2,600kmの連続航行が可能です。
クラトスは、2017年6月にパリで行われたエアショーで、この2つのドローンのモックアップを公開しました。これら2つのドローン戦闘機はハイエンドモデルの戦闘機に似ており、このタイプの航空機はすでにカリフォルニアのベンチュラ郡でテスト飛行に成功しています。
今回アメリカ陸軍が注目しているクラトスのドローンは、低コストなのが特徴です。クラトスはこのプロジェクトを2022年までに完了させると述べています。アメリカ陸軍は、ドローン戦闘機のコストを抑えることによって、量産を可能にし、防衛力を高めたい考えです。
クラトスの社長は「2017年の終わりにアメリカ陸軍とこの契約を結べたことは、会社全体にとって大きな進歩である。これまでの継続的な努力が結果を生み出した」と述べています。
契約金額は9300万ドルで、日本円にして100億円以上の資金が投じられていることを考えると、米陸軍がドローン開発を非常に重視していることが分かります。