イエメンのイスラム教武装組織「フーシ派」は2018年1月1日、米海軍所有の水中ドローンを捕獲したと発表し、その様子を収めた動画を公開しました。
米海軍によると、捕獲されたドローンは「気象学的研究」目的であり、軍事作戦を実行していた事実は無いとしています。
捕獲されたのはHydroid社製のドローン、Remus Model 600でした。Hydroid社は米国マサチューセッツ州に拠点を置く企業で、2008年にノルウェーのKongsberg Marine社によって8,000万ドルで買収されています。
その製品は主に軍事的用途で使用されており、米軍および他国の海軍に販売されています。Remus Model 600は主に、地雷対策と海岸沿いの戦場探査に使用されています。
Remus Model 600は事前のプログラムに基づいて動作し、音響信号が届く範囲ならば、必要に応じて母船から変更信号を送信することができます。Remus Model 600が技術的な不具合を経験したり、何らかの障害に遭遇したりした場合、無線信号を介してトラブル発生の事実を通信します。
今回の捕獲について、詳細はあまり明らかになっていませんが、フーシ派がRemus Model 600を見つけ出す準備をしていたことは明らかです。動画内で彼らは複数人でウェットスーツを装着しており、これはフーシ派が何らかの軍事作戦を予期していたことを意味します。
その作戦が地雷除去であれば、サウジ主導の反フーシ連合が海からの軍事作戦を計画しており、上陸のための経路を確認する必要があった可能性も考えられます。
フーシ派がRemus Model 600を捕獲したということは、彼らがそれを研究することで複製可能となり、軍事的能力が増したことを意味します。
フーシ派は2016年に豪州製の双胴高速輸送船「スウィフト」を対艦ミサイルで攻撃しており、今後の警戒を強める必要があります。 フーシ派が攻撃したスウィフトは、2003年に米海軍へリースされた後、スマトラ沖地震への支援をはじめ、10年間運用されました。
その後、2015年よりアラブ首長国連邦のNational Marine Dredging Companyがチャーター船として運用していましたが、2016年9月30日にフーシ派のミサイル攻撃を受け破壊されました。
スウィフトの攻撃に使用されたミサイルC-802の弾頭は、追加損傷のため炸裂するように設計されており、自己鍛造弾(EFP)弾頭の代表例として知られています。
ミサイル攻撃後のスウィフトの船体は、EFPによる攻撃の典型的な痕跡を示していました。また、スウィフトは沈没を免れたものの、アルミニウム製であったため、船舶は深刻な被害を受け、廃船となりました。
今後のイエメン情勢の健全化が待たれます。