NASAは、土星の第6衛星「タイタン」のドローン探査ミッションプロジェクトを承認しました。この承認により、NASAからプロジェクトチームへの資金援助が行われます。タイタンとはどんな星なのでしょうか?
タイタンは土星の軌道を回る衛星で、1655年にホイヘンスによって発見された、太陽系でただひとつ大気に覆われている衛星です。2005年には惑星探査機ホイヘンスが到着し、タイタンの表面地形などを探索しました。ホイヘンスから送られてきた何枚かの写真には、小峡谷のような地形が確認でき、科学者らは、地球と同じような環境を発見できるのではないかと期待しています。
ホイヘンス探査機は、後にバッテリー切れで動けなくなってしまいましたが、現在、新たな探査機をタイタンに送り込もうというプロジェクトが進んでいます。それが、ドローン「ドラゴンフライ」を利用した惑星探査です。計画が順調に進めば、2020年半ばにドローンが打ち上げられ、惑星探査を開始します。
この「ドラゴンフライ」プロジェクトはNASAがサポートするニューフロンティア計画の一環として進められています。ニューフロンティア計画では、これまで、以下の惑星探査機が打ち上げられてきました。
1、ニュー ホライズンズ、2015年に冥王星に到着
2、ジュノー、2016年に木星の軌道に投入される
3、オシリス レックス、地質サンプルを地上に持ち帰る「サンプルリターン」を目的とし、2016年に小惑星ベンヌに打ち上げられる。2023年には地上に帰還する予定
土星に属する衛星であるタイタンは長年にわたり謎に包まれてきた星です。この衛星は、濃密で分厚い窒素の層に包まれており、表面を確認することが困難なのです。これまでに、タイタンの表面には流体の動きがあることが分かっており、その主な成分は天然ガスに含まれるメタンです。
タイタンではメタンにより雲が生成され、メタンの雨が降り、池、川をつくります。このメタンの流れが、ホイヘンス探査機で確認できたような「小峡谷」地形をつくり出しているのではないかと考えられています。
今回のプロジェクトで、ドローンがタイタンを探査することには以下のようなメリットがあります。
1、高解像度カメラで映像データを送信できる
2、タイタンは重力が小さく、大気も安定しているため、ドローンが飛行しやすい
3、任意の探索地点を選ぶことができる
4、地上型の探査機は時速約1マイルなのに対し、ドローンは比較的高速で移動できる
5、衛星表面との物理的な接触がないため、タイヤや本体への損傷がない
ドラゴンフライは、これまでに打ち上げられた惑星探査機よりも高性能なため、科学者たちのプロジェクトに対する期待が高まっています。