夜の森で遭難した92歳の猟師をたった20分で助けた救助用ドローン

更新日: 2018.05.10 公開日: 2018.01.28
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戦争やスパイ活動に利用されたり、民間航空機や米軍ヘリと衝突したり、ドローンに関するニュースは暗いイメージのものが多いですが、明るいニュースもあります。アメリカ、バージニア州の森で、ドローンが92歳の老人を救出するということがありました。

バージニア州に住む92歳の男性はその日、森へ狩猟に出かけたまま夜まで帰ってきませんでした。心配になった家族が当局に捜索願を出し、その日の夜、暗く寒い森で懸命な捜索活動が行なわれました。夜間の捜索活動は難航し、ヘリコプターまで導入されましたが、結局男性を見つけることはできませんでした。

次の日、行政区域の保安官に知らせが入った後、新たな捜索部隊が派遣されました。捜索部隊が救助用ドローンを使用したところ、たった20分でその92歳の男性が発見されたのです。捜索活動には、比較的最近開発されたモデルのドローンが使用されました。

救助隊員たちは、ドローンが探し出した男性を早急に保護しました。救出された92歳の老人は後に「辺りが暗くなるのに注意せず、気がつくと右も左も分からない状態だった。ジャングルにいるよりひどい状態だった」と述べました。マクドネル氏というこの男性は、かつて第二次世界大戦の際、獣医を勤めていた人で、戦時中は野宿をすることも珍しくなかったと言います。

92歳のマクドネル氏はどのようにして森の中で一夜を明かしたのでしょうか。彼は、戦時中の経験を活かして、なんとか寒い夜の森を生き延びることができました。暖かい服を着込み、持ってきた食料を食べ、木の葉や枝を集めてベッドを作ったのです。

この92歳の老人は助かったとはいえ、この救出劇の後、息子に「もう一人で狩りには出ないと約束してくれ」と頼まれたそうです。

現在アメリカでは「プロジェクト・ライフセーバー」なるプロジェクトが実施されています。このプロジェクトでは、アルツハイマー等の特殊な病気を持った患者にリストバンドを付けさせ、万が一の失踪などの事態に備えます。ドローンには特殊なアンテナが取り付けられており、リストバンドを付けた患者を容易に見つけ出すことができます。

マクドネル氏はこのリストバンドを付けていませんでしたが、ドローンは救助活動の効率化のために有効であることが、今回の出来事で証明されました。

山の多い日本では、毎年3000人もの遭難事故が報告されていますが、山岳救助の分野でもドローンの使用が始まっています。またDJIジャパンにより、地震、台風や洪水などの自然災害の際に使用される、産業用の空撮プラットフォームが現在、試験段階にあります。