米国ポーツマス警察 ドローンの可能性探るもプライバシーとの板挟み

更新日: 2018.05.10 公開日: 2018.01.26
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ポーツマスはニューハンプシャー州に位置する沿岸地域で、海軍基地があることで知られています。夏季の気温が比較的涼しいため、避暑地として観光客から親しまれています。このポーツマスでは現在、警察によるドローンの使用が検討されています。

プライバシーの問題がなければ、警察にとってドローンは、各方面で利用できる素晴らしいツールです。例えば、以下のようなシーンでドローンが活躍します。

1、痴呆の老人やアルツハイマーの患者が失踪した場合の捜索活動
2、洪水やハリケーンなどの悪天候の際の救済
3、犯罪捜査における容疑者の特定
4、パレードやフェスティバルの際の警備

ドローンに赤外線サーモグラフィーを搭載することによって、容疑者の特定に応用することができます。犯罪は暗い場所で行なわれることがありますが、赤外線カメラなら、昼夜、室内外を問わず人を検知することが可能です。

パレードやフェスティバルの際には、事故やテロ、犯罪が発生しないように多くの警備員が配備されます。しかし、警備や監視にドローンを用いることで、これらの人員を大幅に削減できます。例えば、2020年の東京オリンピックで警備のために取り分けられている費用は1600億円にのぼるといわれています。大きなイベントになると、警備のために相当の金額が使用されているので、節約できる金額は大きなものです。

こういったドローンのメリットを考慮して、ポーツマスでは、警官のトレーニングが始まっています。まだ実際の公務に使用されているわけではありませんが、警官がドローンを使用できるように備えておくというのがその目的です。

ポーツマスの上空は現在FAA「連邦航空局」により、厳格に管理されているため、警察であっても当面はドローンを使用することができません。

いっぽう、ボストン・グローブが報じるところによれば、ボストン警察はドローンに相当のお金を使っており、その額は3台のドローンとアクセサリー類だけで1万7500ドルになります。これに対しアメリカ自由人権協会は、ボストン警察に批判的な見方を示しています。警察がドローンを使用することによって、一般市民のプライバシーが侵害されるのではないか、というのが自由人権協会の考えです。

ドローンの導入を考慮するにあたって、つきまとうのがプライバシーの問題です。プライバシーと安全をパーフェクトに両立させることはできません。当局はFAAと適切なコミュニケーションをとりながら、個人のプライバシーを重視しつつ、バランスのとれた法整備を行う必要があります。