中国において、ドローンの市場規模は年々拡大しており、2020年までには91億ドルになる見込みです。日本円にして約1兆円になり、今最も注目すべき中国の産業といえます。中華人民共和国工業情報化部の発表によると、さらに先の2025年には3倍の市場価値になると予想されています。この予測は、中国の情報メディア「iResearch」の、2025年までに1300億円という予測を大きく上回るものです。
現在中国では、ドローンが3Dマッピングなどに利用されています。測量のために行なわれる3Dマッピングは、ドローンによって空撮した連続写真を専用のソフトウェアによって解析し、地理的なデータを得るものです。中国では趣味としてドローンを使用する人も増えており、この業界は、これから10年は伸びる業界といえるでしょう。
中国におけるドローンは農業や環境モニタリング、公共のエンターテイメントにも用いられています。数年後、ドローンは中国の各産業に、さらに積極的に応用されていくでしょう。
ドローン業界をリードするDJIは中国の深センに本社を置く企業です。商用ドローンでは業界最大手で、世界シェアの80パーセントを握っています。民生用ドローンの分野では、依然として、DJIの本社がある中国に主導権があると、工業情報化部は述べています。ドローンの分野で、世界に対して大きな影響力をもっているのは中国なのです。
中国は、これから先もドローン産業を発展させてゆく予定で、2020年までに複数の大手ドローンメーカーを設立することを目指しています。DJIなどがドローンに関する膨大なノウハウをすでに持っているので、新企業の育成は、中国にとって困難なことではないでしょう。
中国で発展しているドローンですが、メリットがあればデメリットも存在します。それが、民間航空機への影響です。実際に四川省で起こった事件では、4つのドローンが国際空港に不法侵入し、航空路線に障害をもたらしました。結果、58機の飛行機が他空港に着陸せざるを得なくなり、4機は強制的に帰国しなければならなくなり、多くのフライトキャンセルも出ました。
このような民間航空機への妨害を事前に防ぐために、中国では、アメリカなどのドローン規制に倣い、民生用ドローンを実名登録しなければなりません。重量が250グラムを超えるドローンは登録した後、政府が発行するシールを本体に貼らなければならず、これに違反した場合は処罰が課されます。