ドローン事故や不正使用が増えている中、アメリカの多くの場所では、すでにドローンの使用が規制されています。ワシントンDCに本部を置くFAA「Federal Aviation Administration」連邦航空局は、ドローンの規制強化に動き出しています。
FAAが提唱している一つの方法は、ドローンに対してトラッキングを行うということです。トラッキングを行うことによって、どのドローンがどこにいるか、操作者は誰かなど全ての情報を当局が常に把握することになります。
しかし、この提案は合意に至りませんでした。その理由は、どんなドローンを対象にトラッキングを行うか、明確な線引きが困難なためです。宅配サービスや撮影などの商業用ドローンに限るのか、それとも趣味の範囲で使用しているドローンもトラッキングするのかを、まず考える必要があります。
約20万人の愛好者からなるNPO、模型航空協会は、FAAの提案に対して反対意見を述べています。趣味のドローン利用でも規制化の対象になるというのは不合理だというのがその理由です。模型航空協会は、目視できる範囲でのドローン操作ならトラッキングする必要はないと述べています。また、ドローンをあらかじめプログラムしておけば、離陸地点に自動的に戻すこともでき、失踪して航空機に衝突するなどの事故を防ぐことができます。
FAAが恐れているのは、2017年9月21日に起こった、ドローンと米軍ヘリの衝突のような事件が再び起こることです。ドローンの操作者が特定できないと、衝突事故の際、責任追及が難しく、取り締まりもできません。そこで、FAAが提案している方法の1つが、電子ナンバープレートの導入です。
電子ナンバープレートを導入すると、FAAが送信する情報をドローンに受信させるか、ドローンをインターネットに接続させることによって、追跡情報を取得することができます。ドローンの追跡情報はFAAのデータベース内に保管されます。この規制下では、250グラム以上のドローンが対象となります。Phantom 4に代表される標準的サイズのドローンでも1300グラムほどなので、ほとんどのドローンが対象ということになります。
規制化に消極的な声が上がっているものの、ALPA「パイロット乗員組合」は、事故防止のために早急に規制強化を行うようFAAに求めています。FAAはドローン愛好家たちと航空会社との板ばさみになっているかたちで、プライバシーと安全のバランスを考えたルールづくりが求められています。