写真は古くから芸術や自己表現の手段となってきました。ドローンが普及するにつれて、写真の表現方法にも変化が表れてきています。たとえば、航空写真と聞くと、かたいイメージがありますが、ドローンの空撮技術を利用して撮影された「航空写真」には違った面白さがあります。
欧州で行われたDJIドローンのフォトグラフィーアワードでは、2名の写真家が推薦されました。選出されたのはメルケル・レドンド氏とトム・ヘーゲン氏です。これら2名のフォトグラファーは、ドローン空撮写真プロジェクトに取り組みました。2人の写真家は作風こそ異なりますが、どちらも撮影技術に秀でており、その作品は、どれも見る人の心に語りかけるものばかりです。
DJI主催のこのコンテストで受賞した2人には、ドローンが贈呈されます。2人の写真家に送られたのはDJI製の人気機種、Phantom4Proです。このドローンはカメラ画素数が2000万画素と、前モデルと比較して大幅にグレードアップしています。
受賞者らにはドローンが送られるだけでなく、ドローンのプロフェッショナルによる指導と、1500ポンドの資金援助を受けることができます。全面的なサポートにより、2人の写真家は個性を活かした作品作りに集中する事ができるというわけです。
ここで、2人のプロフォトグラファー、レドンドとヘーゲンの撮る写真についてもご紹介していきましょう。
レドンド氏は、スペインとフランスを主な拠点としており、旅行好きのフォトグラファーです。彼の作品はドイツで最も発行部数の多いニュース週刊誌「デア・シュピーゲル」や「タイム・マガジン」などに掲載されたこともあります。特に社会問題や環境問題に焦点を当てた作品が多く、慈善団体とも協力関係にある、実力派のフォトグラファーです。
レドンド氏が今回、ドローンを使用して撮影するのは、建設途中で頓挫した廃墟です。欧州ソブリン危機により、工事が中断した建物や空き家の数は340万にものぼるといわれています。レドンド氏のこれらの作品「Sand Castles」は、どれも社会問題の深刻さを訴えるものとなっています。
いっぽう、ドイツを活動拠点としているヘーゲン氏は、ドローンを使用して塩の生産現場を撮影します。ヘーゲン氏は「ドローン空撮の潜在能力」について研究しており、同時に「人がどのように自然環境に深く関わっているか」を写真で表現したいと考えているとのことです。
生活上でわたしたちが当たり前のように使っている塩ですが、塩がどのような工程を経て造られるのか、わたしたちはよく知りません。ヘーゲン氏の作品では、塩の生産過程を違った角度から理解する事ができます。