ホッキョクグマの生息域を調査するために開発された新型ドローン

更新日: 2018.05.10 公開日: 2018.01.15
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ホッキョクグマの生態はあまり知られておらず、いまだに謎も多いということをご存知ですか?極地に生息するため、人が入りにくく、調査が困難であるというのがホッキョクグマに関する研究を難しくしている要因のひとつです。そのホッキョクグマの生態を詳しく調査するため、“サンディエゴ動物園グローバル”の調査チームが動き出しました。

カリフォルニアのサンディエゴにあるサンディエゴ動物園の調査チームは、特殊改造が施されたドローンを調査に用いる予定です。近年の温暖化にともない、北極の海氷は絶えず形を変えています。このドローンを用いた調査には、温暖化による地形変化が、カナダのホッキョクグマの生活に影響を与えているかを調査する目的も含まれています。

サンディエゴ動物園の環境保護団体のひとり、ニコラス ピルフォールド氏は「ホッキョクグマの生態を直接観察できた例は数えるほどで、非常に少ない。今回のドローンを使用した調査は、環境保護や野生動物保護の観点から見ても非常に重要である」と述べました。

ホッキョクグマ観察用に特殊改造されたドローンの開発を担当したのが、バージニア州に本社を置く輸送機メーカー、ノースロップ グラマンです。ホッキョクグマを観察するには耐寒性を備えたドローンでなければなりません。

開発ディレクターのチャーリー ウェルチ氏は次のように述べています。「ドローンは特殊なカスタマイズがなされており、最先端のセンシングユニットが装備されている。このドローンは全てのセンサを包括的にコントロールでき、極めて高い解像度でモニタリングする。このため、調査チームは高精度のデータを収集でき、調査の主眼となる海氷の動きや変化を素早く知ることができる」

この高性能ドローンには、これまでに前例のない以下のようなセンシングシステムが搭載されています。

1、「マルチスペクトルセンサ」 非可視光線の波長を認識するセンサです。
2、「サーマルセンサ」 熱の変化率をマッピングできます。
3、「レーダー」 ドローンで撮影した地形を3D出力できます。

このほか、ドローンの原動力となるバッテリーは、極度の低温下では動作しないため、本体に保温シールド加工がなされています。

このドローンをホッキョクグマと海氷の観察に使用できれば、北極での調査に伴う危険リスクを抑えられるでしょう。近いうちに、ホッキョクグマを認識するアルゴリズムをテストするための遠征が行われる予定です。