イラク戦争で多用された小型爆発物はテロや軍事目的でも使用され、人々の脅威となってきました。米国防総省ペンタゴンは今、新たな難題と戦っています。小型クアッドコプター、ドローンです。
早い段階で対策をしておかないと、IED「簡易爆発物」のように、テロや軍事目的で乱用されることは必至と考えられています。
ドローンの脅威について専門的に研究している機関JIDOによると、すでにドローンによって人的被害が出ているものの、今のところしっかりとした規制ができていません。ドローンには昆虫サイズのような小型なものから自家用ジェットのような大型のものまであり、法による規制が難しいのです。とはいえ、ドローンを撃退する方法が研究されています。
例えば、「エアバースト機能」を備えたドローンが開発されています。アンチドローンテクノロジー協議会で提案されたこの「エアバースト機能」付きドローンは、敵の軍事用ドローンを強風で撃退することができます。
レーザーやマイクロ波を使用して軍事用ドローンを領空から追い出す方法もあります。高エネルギーレーザー照射機を搭載したサンドバギーやロッキード・マーティンが開発したレーザー照射が可能な軍事用ドローンなどが開発段階にあります。
米国バージニア州にある企業CACIが開発する「スカイトラッカー」という技術は、空の軍事用ドローンを見つけ出し、強制着陸、もしくはオペレーターのもとへ強制帰還させることができます。別の試みでは鷲を使ったドローンの拿捕も検討されています。
ドローンはその“手に入れやすさ”が脅威です。アマゾンでクアッドコプターと入力すると、実に80,000件近くもの検索結果が出てきます。どんな人でも手に入るため、悪用されやすいのです。
実際に、イスラム国は手榴弾を投下するために軍事用ドローンを用いています。ウクライナではロシアの反政府組織が軍事目的の偵察のためにドローンを使用しています。
米国防総省が危惧しているのは、軍事目的の使用だけでなく、一般の航空機を妨害する可能性です。2015年には、ドローンがUSオープンテニス会場やホワイトハウスでクラッシュしたり、ケベック州で小型飛行機に衝突したりしました。こういった事実を尻目に、ドローンの軍事目的の開発は着々と進んでおり、米海軍の指揮官の1人は各兵士にひとつずつ軍事用ドローンを持たせたいとも語っています。
イスラム国が軍事目的にドローンを利用し始めたことを皮切りに、ドローンの軍事利用が驚異的なスピードで進んでいます。