スパイ用ドローンの開発が進むにつれて、世界各国の国境付近の緊張も高まっています。ドローンは小さく、低コストなため、しばしばスパイ活動に用いられることがあり、プライバシーや領空の問題に発展することがあるのです。インドとパキスタンの国境、スルマンキで起こった事件がまさにその例です。
まず、スルマンキという場所について理解しておきましょう。この小さな村はパキスタンの領土内にありますが、2、3キロも歩けば、インドのガンジ ベイクシャニという村にたどりつきます。このスルマンキという地域は農業水利施設があることで知られています。
パキスタンは1947年、インドとは別にイギリスから独立したイスラム教国で、インドと全く文化が異なります。歴史を見ても、インドとパキスタンは激しく対立しており、これまでに3度にわたる戦争を行っています。
以上から分かるように、今回の事件が起きたインドとパキスタンの国境付近は非常に緊張した地域なのです。この場所で、インドのスパイドローンがパキスタンの領空に侵入するという事件が起きました。事件当時、国境付近にいたパキスタンの特殊部隊がすぐに撃ち落とし、ドローンは破壊されました。
パキスタン側に撃ち落とされたスパイドローンは大破した後、回収され、現在調査されているとのことです。ドローンがスパイ目的に用いられた事例は他にもありますが、今回のパキスタンにおける事件は、インド、パキスタン両国間の緊張をいっそう高めるものとなりそうです。
似たような事件が2017年10月にも起こっています。長期にわたって領有権争いが続いているカシミール地方は、インドとパキスタン、中国の国境地域ですが、現在でも緊張が続く場所です。この場所で同じくスパイ目的のドローンが見つかり、紛争領域にて撃ち落とされました。
カシミール地方は、約70年にわたってインドとパキスタン間で領有権が争われている地域で、小規模なデモや小競合いが起こったり、情報統制がなされたりしています。死者やけが人も多数出ており、情勢は年々悪化しています。
ドローンを用いたスパイ活動は世界中で行われています。ウクライナでは反ロシア政府組織によって、ドローンを用いたスパイ活動が行われたり、内戦が激化しているソマリアでは、鳥の形を模したスパイ用ドローンが見つかったりしています。これから先ドローンの技術が発達すれば、ますますスパイ活動に用いられるようになるでしょう。