マラリアなどの病気の伝播を阻止するために、生殖機能の無い蚊を野生に放す取り組みは2015年頃から続けられていますが、より広範囲に拡散させるため、ドローンで蚊を散布することが計画されています。
生殖能力のない蚊を放つことで、蚊の個体数が減り、マラリアやデング熱、ジカ熱などの伝染病の現象が期待できますが、道路などのインフラが整備されてないような地域では、中々その方法がとれないのが現状です。
そこで、米国の企業WeRobotics社は、2018年にテストを行うことを目標に蚊を散布するためのドローンを開発しています。
WeRoboticsの共同設立者であるアダム・クラプトクズ氏は「蚊はマラリア、デング熱、ジカ熱などの多くの病気を持ち、地球で最も人間を殺している動物とされている。殺虫剤では環境に良くないし、定期的に撒く必要がある。また、耐性を持つ個体が増える恐れもある」と生殖能力のない蚊を使用する理由を語りました。
生殖能力のない蚊は、科学者が携行するバックパックから放出する方法が一般的ですが、広範囲に広げたり、道の無い場所で拡散したりすることは困難です。
WeRoboticsは国際的な援助機関によって、その解決策の作成方法の考案をアプローチされました。
「これらの病気が蔓延している場所の多くは、道路が存在しない場所でもあり、これまで拡散が難しかった。しかし、ドローンを利用すればそのような場所にも生殖能力のない蚊を拡散し、伝染病を減少させられる可能性がある」とクラプトクズ氏は語りました。
しかし、衝撃に弱い蚊の足や羽根に損傷を与えずに、数十万匹をドローンに積載する方法が課題の一つでした。
現在は、蚊を4-8℃に冷却し、コールドスリープ状態にして動かないようにする方法が試みられています。
もう一つの課題は、蚊を起こさないようにしながら、少しずつ広範囲に投下することでした。そのために、開発チームは蚊が少しずつ落ちるように、穴が回転するタイプの投下装置を開発しました。投下された蚊はしばらくして目を覚まし、野生に帰ることになります。
地元住民との意思疎通もまた重要です。十分な意思疎通が為されていなければ、ドローンで蚊を投下してマラリアを蔓延させようとするバイオテロのように見なされる恐れもあります。また、プライバシーの面から見ても、十分な意思疎通は必須と思われます。
ドローンはまだ開発中ですが、2018年に南米で技術テストを開始する予定です。