ロシアの研究機関ADRNは、新型ドローン「SKYF」を開発中で、テスト飛行を重ねています。SKYFは耐荷重181kg、最大飛行時間8時間と、まさにモンスター級の能力を誇ります。
動力にパワーと耐久性に優れたガソリンエンジン、そしてコントロール性と安定性に優れた電気モーターのトルクを使用し、驚くべき輸送力の実現と、コストを抑えることの両立に成功しました。
大型のドローンは、今後数十年に渡って、産業界で重要な役割を果たすと見られています。ヘリコプターよりもはるかに簡単で安価に運行できるドローンは、あらゆる種類の輸送、配送、貨物業界に革命を起こすことを期待されています。
とはいえ、もちろん現段階では問題もあります。バッテリーは未だ高価で、ヘリコプターや飛行機のような長時間飛行は実現できていません。電気自動車が広く普及しきれていないのも、これと同様の理由と思われます。
仮に、ドローンにガソリンエンジンを利用すれば、素晴らしいパワー、耐久性を誇り、迅速な給油が可能です。そのため、長時間飛行の問題も解決するように見えますが、技術的問題が発生します。
ドローンにおいては飛行の安定性を保つため、連続的に多くのモーター速度の変更を行うことができなければなりません。ガソリンエンジンは回転速度に応じて動力を提供するため、応答速度が遅く、管理が複雑です。そのため、リチウム電池が普及するまでは、ドローンは離陸することすら難しかったのです。
そうした問題を乗り越えるべく開発されたSKYFは、ガソリンと電気のハイブリッド機構を採用することで、ガソリンエンジンのみでは難しかった繊細なコントロール、安定化、ステアリングを実現しました。
ガソリンエンジンのパワーと耐久性を利用して2つの大型プロペラを駆動し、四隅に配置されたプロペラを電気で駆動して安定させ、操縦します。機体コントロールをガソリンエンジンから分離することにより、両方のモーターの利点を活かすことが可能です。
この組み合わせにより、181 kgの耐荷重、最大350 km、8時間の飛行が可能になります。作物への散布から消火活動や貨物作業に至るまで、多種多様な産業への応用が期待されています。
2017年現在、SKYFの運行費用は1時間あたり約150ドルで、ヘリコプターよりもはるかに安価になっています。飛行前のセットアップには約10分かかり、全体の寸法は5.2 x 2.2 mです。
SKYFの登場で、ドローンでの長距離・高重量輸送の技術がさらに進化していくと見られます。ドローンで大陸間輸送を行うような時代が、いつか到来するかもしれません。